立川市の注目スポットGREEN SPRINGSが街と自然をつなぐ
人と街と自然がつながる「縁側」
新宿駅から快速電車で約30分、東京都西部の奥多摩駅まで約1時間。都会にも自然にもアクセスしやすい立川市に、2020年4月に開業したのがGREEN SPRINGSだ。多機能ホールやホテル、カフェ、レストラン、オフィスなどからなる大型複合施設で、街と自然と人々が調和する「ウェルビーイングタウン」をコンセプトに掲げる。
同施設は再開発が進み人々で賑わう駅周辺と、都内最大級の公園である昭和記念公園の中間に位置する。開発・運営に当たる立飛ストラテジーラボの工藤寿哉氏は、その立地を日本家屋の「縁側」にたとえてこう語る。
「縁側は、内でもない外でもない、家族やご近所さんなどがなんとなく集まる空間。GREEN SPRINGSは立川の街にとっての縁側でありたいと願い、施設の設計にも落とし込んでいきました」
最大の特徴は、1ヘクタールの中央広場だ。広場を囲むように並ぶ店舗やオフィスは開放感があるガラス張りで、木天井の軒下空間が内と外をシームレスにつなぐ。中央広場内にはベンチや屋根のついた休憩スペースを多数配置し、その北側には青々とした芝生広場が広がる。立川市民の憩いの場としての機能を存分に持たせた。
「朝は犬を連れて散歩する人、日中は親子連れで賑わい、夕方は学校帰りの高校生がおしゃべりする姿が見られ、みなさん思い思いにくつろいでいます。お客さんの滞在時間が長くて笑顔の人が多いのが、この施設ならではだと思います」と工藤氏。
立川、そして多摩エリアの「価値」を高める
施設内には、季節によって表情を変える350種類以上の多摩地域の在来種を植栽。広場中央のビオトープへ多摩川水系の生き物を放ち、多摩の自然を再現した。
「植栽の工事をした方が、こんなに木を植えた工事は初めてと言っていたそうです。フェイクグリーンではなく、本物の植物を植えるところから緑を作っていくのは、複合施設としては国内でも珍しく、業界に一石を投じたのではないかと思います」
一般的な都心型の不動産開発では、容積率の効率化によって投資効率を上げることで事業を組み立てている。つまり、家賃収入を生まず、維持管理にも費用がかかる中央広場のような共用部への投資は、業界の常識からすると「あり得ない」と工藤氏は言う。
なぜそこまでして中央広場の開発に力を入れたのか。工藤氏は、立川市、ひいては多摩エリアの価値を上げる施設にするためと説明する。
「地元住民にとって自慢になるような施設にすることで、住む街を誇りに思うシビックプライドが醸成されます。GREEN SPRINGSを起点に周囲を巻き込みながら、長期的視点で多摩エリアの価値を上げ、立川の都市格を上げる。それがランドオーナー(土地所有者)である我々だからこそできる仕事であり、責任でもあるのです」
インバウンドで奥多摩周遊の拠点へ
復活の兆しが見えつつあるインバウンド市場においても、奥多摩地域への周遊の拠点に立川市はもってこいだ。そこで、SORANO HOTELなどを有するGREEN SPRINGSの役割にも期待が集まる。
「日中は、大自然が広がる奥多摩で川下りや釣り、酒蔵見学などをして、夕方に立川へ帰ってきた観光客が、ディナーや宿泊をする。施設内にある都市型リゾートホテル、SORANO HOTELの最上階のインフィニティプールや、多機能ホールTACHIKAWA STAGE GARDENのスカイデッキは、外国人にとっても大きな目玉となると思います」
未来を見据え、多方面に「縁」を活かすGREEN SPRINGSの機能が注目される。
GREEN SPRINGS
https://greensprings.jp東京都は、100年先を見据えた"みどりと生きるまちづくり"をコンセプトに、東京の緑を「まもる」「育てる」「活かす」取組を進めています。
森林循環や生物多様性の拠点形成、地域の方々と協働した緑化活動などを通して、「自然と調和した持続可能な都市」への進化を目指しています。
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/tokyo-greenbiz-advisoryboard
写真提供/GREEN SPRINGS