Travel Tech Tokyo:
VR×観光!リアルな映像で旅への欲求を高める
大自然やグルメなど、多摩の観光資源を発信
四季折々の景観が楽しめる、あきる野市の秋川渓谷や、檜原村にある高さ60メートルの払沢の滝など、東京・多摩地区は自然と触れ合える観光名所がたくさんある。武蔵村山市のかてうどんといったご当地グルメや地元食材を使った料理が味わえるのも魅力の一つだ。
こうした豊富な観光資源を国内外の観光客に発信するため、多摩観光推進協議会はVR技術を駆使した「東京多摩360°VRツアー」を制作。VRを活用することで、どのように地域の魅力を伝えることができるのか。映像制作を担当した株式会社アルファコード取締役ファウンダー兼CTOの水野拓宏氏に話を聞いた。
「VRは体験をデジタル化する技術です。これまで体験は文章や写真、あるいは2D映像によって伝えるものでした。それは、あくまで他人が体験したことを間接的・客観的に体験するにすぎないんです。ですが、立体感のあるVR映像は、臨場感や没入感の高い体験ができます」
VRなら観光地を360度体験できる
専用のゴーグルをつけると目の前に広がるのは、払沢の滝から勢いよく流れ落ちる水など、まさに手を伸ばしたくなるような光景だ。関東随一の規模を誇る奥多摩町の日原鍾乳洞では、神秘的な光景が360度で展開。自分が歩き回っているような感覚になる。
同社事業開発部の鈴木秀人氏はVR映像と2D映像との違いを説明する。
「VRは空間を360度で体験できることが大きな違いです。自分が見たい方に視線を向ければその通りに見ることができるので滝を見上げることもできますし、八王子の芸妓さんと自分がサイコロを使って遊んでいるかのような気分にもなれます。VRは簡単なナレーションは入れていますが、2D映像のように詳細なテロップを入れたりエフェクトを入れたりはせず、よりリアルを追求しています」
このVRを専用ゴーグルで見ることができるのは、いなぎ発信基地ペアテラスと、⽴川グリーンスプリングスの2カ所。英語版もあり、都心とは違う東京の体験や観光がしたい外国人観光客にも好評だ。
鈴木氏は「同じVRを見ていても、それぞれの視線に合わせて目の前に広がる映像が違います。だからより体感的に『ここに行ってみたい!』と思えるんです。行ったあとにVRを見ると、自身の体験がよりリアルに思い出せるので、『また行きたい』にもつながります」と話す。
PCブラウザやスマートフォンでも体験可能
アルファコードでは専用ゴーグルがなくてもVR映像を視聴できるスマートフォンアプリ「Blinky」も開発。東京多摩360°VRツアーは見られないが、都井岬野生馬ガイドツアーや文化猿に会える幸島などのVR動画を公開している。パソコンでマウスを使って動かしたり、スマートフォンの画面をスワイプしたりすることで、自分が見たいものにフォーカスすることができる。
「当社はメタバース(仮想空間)のプラットフォームも持っているので、次はメタバースを観光に活用することを考えています。一緒に旅行しようと思っている相手と事前にメタバース内で体験を共有することで旅へのモチベーションが高まり、さらに観光需要を開拓できそうです」と鈴木氏は語る。
ガイドブックやテレビの旅番組からは得られない体験ができるVRは、観光分野でますます需要が高まりそうだ。
株式会社アルファコード
https://www.alphacode.co.jp都井岬野生馬ガイドツアー
https://share.blinky.jp/s/MTU1MQ文化猿に会える幸島
https://share.blinky.jp/s/MTU1OQ写真提供/アルファコード