Travel Tech Tokyo:
訪日外国人に人気の買い物サポートアプリとは?
7カ国語で商品の詳細情報を提供
Paykeの累計ダウンロード数は450万(API提供含む、2024年1月時点)、そのうち99%が海外ユーザーだ。商品情報には商品の特徴や原材料などのほか、ユーザーの口コミ情報なども掲載されている。ユーザーは中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、英語、ベトナム語、タイ語、日本語の中から利用したい言語を選ぶ。スーパーマーケットやドラッグストアで気になる商品のバーコードを読み取れば、日本語が不得意な訪日外国人もどんな商品かがその場で分かるから買い物に役立つ。
株式会社Payke代表取締役CEOの古田奎輔(けいすけ)氏がこのアプリを企画したのは、前職で日本の特産品の貿易業や海外プロモーションに携わった経験があったから。
「沖縄産のもずくを売り込んだ時に、商品サンプルを渡すだけでは反応がなかったのですが、相手の言語で商品説明をつけて渡すと受注が増えたんです」
購買を喚起したのは、商品そのものではなく情報だったのだ。そのことに気づいた古田氏は2014年に起業。1年後に訪日外国人向けの買い物サポートアプリ「Payke」をリリースした。取り扱うのは消費財を中心に1,300社以上50万点にも及ぶ。2020年には、東京都主催の「ダイバーシティTOKYO アプリアワード アプリ部門」優秀賞を受賞している。
ユーザーのSNS発信で話題に
2022年10月に水際対策が緩和されて以降、インバウンドは順調に回復している。観光庁が行った訪日外国人消費動向調査によれば、外国人旅行客の国内消費額は、2023年7-9月期に1兆3,801億円で、コロナ禍前の2019年同時期より17%上回った。Paykeの海外ユーザー数も2023年10月には、2019年同月と比べ20%増加した。
SNSでの反響も増えている。
「訪日時に利用したユーザーがInstagramやTikTokなどのSNSで日本旅行中に役立つアプリとして自国語で発信してくれるんです。その国の言語で『日本旅行』と検索すると上位の投稿でPaykeが紹介されていることも増えています」と古田氏。
企業向け情報提供サービスも充実
会員企業向けサービスも充実している。日本中の店舗でどの商品がどの言語の旅行客に人気があるのかが瞬時に分かるので、インバウンド向けの販売促進戦略が立てられるのだ。
古田氏は「たとえば、六本木のドン・キホーテでは、この言語の人たちにこの商品が人気と分かれば、その言語でPOPを制作することもできますし、競合他社の商品データやほかの販売店の販売データと比較することも可能です」と話す。
各言語の人気商品も手に取るように分かる。
「台湾からの旅行客はグミが大好きで、香港からの旅行客には風邪薬が売れています。最近はミルクプリンが韓国人の間で人気です」
今後はユーザー向けの有料機能も開始予定で、帰国後にお気に入りの商品が購入できるサービスやイスラム教徒向けのハラール認証表記、日本人が海外旅行の際に使用できる機能なども検討している。
日本で欲しいものを見つけたい外国人旅行客にとっても、インバウンド需要の拡大を目指す日本企業にとっても、ますます欠かせないアプリになるだろう。
株式会社Payke
https://payke.co.jp写真提供/株式会社Payke