ベルリン市長、国際都市ネットワークに期待

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 東京都とドイツの首都ベルリン市の友好都市提携30周年を記念して今年5月、カイ・ヴェーグナー・ベルリン市長が初来日した。滞在中、東京都主催のイベント「SusHi Tech Tokyo 2024」のシティ・リーダーズ プログラムに参加。ヴェーグナー市長はインタビューに答え、世界の共通課題に対して都市が果たす役割の重要性について語り、東京都が立ち上げた国際都市ネットワークG-NETS(Global City Network for Sustainability)に期待を示した。
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「SusHi Tech Tokyo 2024」に参加するヴェーグナー市長

--東京とベルリン友好都市提携30周年についてお聞かせください。

 今回の訪問は、東京とベルリンの友好都市提携30周年を祝うことが大きな目的。二つの都市の友好関係を強化し、維持していこうと思っています。私たちにはさまざまな新しい課題があるので、一緒になって新しいソリューションを見つけ出していきたい。その課題というのは、気候変動や都市のレジリエンス、デジタル化、公共交通機関の果たす役割、安価な住宅の提供、人口動態の変化など。将来に向けた都市にとって大変重要な問題なので、共に解決したいと思っています。

 ベルリンは文化の都市として有名です。文化はさまざまな人々を団結させ、結びつけることができる。ベルリンは文化都市であり、ダイバーシティが特徴でもあります。それはきっと東京にも当てはまるのではないかと思います。

 文化だけではなく科学の分野でも、私たちは東京と協力を進めています。大学間や学術関係の協力を推進しています。ベルリンは技術が強いので、東京とその関係のネットワークをつくっていきたいと考えています。今回、30周年を祝うということで、小池百合子東京都知事とお会いし、これまでの友好関係を更に強化することを確認しました。

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シティ・リーダーズ プログラムに参加するヴェーグナー市長(中央左)Photo: courtesy of the Tokyo Metropolitan Government

--シティ・リーダーズ プログラムの評価をお聞かせください。

 東京でさまざまな国や地域のリーダーと会うことができました。私たちは、都市が抱える課題を一緒になってディスカッションし、新しいソリューションを見つけなければと考えています。今日行われたシティ・リーダーズ プログラムは大変素晴らしいイベントだと思います。実際に私もパネルに参加しました。そこで話し合われたことは都市のレジリエンスや災害対策。私はベルリンでどういった災害対策が行われているのかという事例を話しました。私たちは市民を守るための準備を着々と進めていかなければなりません。都市の役割はだんだん大きくなっている。なぜなら多くの人が都市に移ろうとしているからです。つまり、都市化の動きがとても顕著で、これは欧州の都市においても同じような傾向があります。これらの課題について私たちは解答を一緒になって見つけなければなりません。

--G-NETSに対する期待はありますか?

 期待は大きいです。ベルリンは2045年にカーボンニュートラルな都市になるという目標を掲げています。そのためには新しい形のエネルギーを導入していかなければならないし、暖房の熱をどのように供給すれば良いのか、そして行政は何ができるのか、企業との協力関係はどういうものがあるのか、スタートアップからどのようなアイデアをもらうことができるのか。解答を見つけるのはなかなか難しい。都市をネットワーク化させて、協力しながら、お互いに知見や情報を交換することが重要です。都市の役割は大きくなっています。都市が抱えているチャレンジはそれぞれ違うかもしれませんが、一緒になって考えることは重要です。

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インタビューに答えるヴェーグナー市長

--東京とベルリンが学び合えることは何でしょうか?

 東京は地下鉄がすばらしい。こういったものをぜひベルリンに持っていきたい。ベルリンも良い地下鉄のネットワークができていますが、まだまだ小規模だし、もっと開発をしていかなければならない。昨日、地下鉄に乗ったところ、すごく面白かった。時間通りに来ることや清潔なところなど、たくさん見習うことができると思いました。

 お互いに学ぶことがとても重要だと思います。だからこそ友好都市として交流を深めることに意味があるのではないかと考えます。情報を交換し合い、学び合うことはとても良いこと。ベルリンにはたくさん良いところがあります。サイエンスや研究開発が得意で、新しい技術がどんどん生まれる場所です。欧州全体に進出する際、ベルリンをゲートウェイとして見ることもできます。日系の企業の方々には、ベルリンを経済や投資の拠点として見ていただき、進出してもらえればと思っています。

--ベルリンの魅力とは?

 ベルリンはとてもインターナショナル。自由で多様性がありオープンな都市です。また、緑が多く公園や森もある。美しい場所がたくさんあります。生活の質はとても高い。また、新しい技術の開発力がベルリンにはある。ベルリンはいつも変化している都市。これからも変化を続けていきます。

 もう一つ忘れてはならないのは文化。フィルハーモニーがあり、サブカルチャーやナイトクラブもあります。多様な文化をぜひ見ていただきたい。私たちには歴史もあります。ドイツが分断されていたとき、ベルリンはまさに分断されて壁がありました。その時代を含むさまざまな歴史に関する博物館や美術館も沢山あります。

カイ・ヴェーグナー市長

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2019年にベルリンCDU(キリスト教民主同盟)議長に就任し、2023年4月のベルリン市長選挙で当選。学校を卒業後、空軍での兵役を経て保険会社に勤務。建設会社で勤めた後、政治家としてのキャリアをスタート。1972年ベルリン生まれ。3人の子どもの父親。Photo: Courtesy by the Senate Chancellery Berlin

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Sustainable High City Tech Tokyo = SusHi Tech Tokyo は、最先端のテクノロジー、多彩なアイデアやデジタルノウハウによって、世界共通の都市課題を克服する「持続可能な新しい価値」を生み出す東京発のコンセプトです。

SusHi Tech Tokyo 2024: 
https://www.sushi-tech-tokyo2024.metro.tokyo.lg.jp/

Global City Network for Sustainability (G-NETS):
https://www.g-nets.metro.tokyo.lg.jp/

取材・文/伊藤真悟
写真/及川誠