お茶の芸術、文化、未来を発見できる「お茶の文化創造博物館」、「お~いお茶ミュージアム」が誕生

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 今年5月、東京都港区に新たな名所が誕生する。国内におけるお茶のリーディングカンパニーである株式会社伊藤園が、日本の鉄道発祥の地とされる旧新橋停車場内に、お茶文化の魅力を伝えるスポットを開設する。
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Photo : ITO EN, LTD.

 お茶の芸術と文化をテーマとした複合型博物館という独創的なプロジェクトは、同社の創業60年、主力ブランド「お~いお茶」誕生35周年という節目に合わせたものだ。

 2024年5月1日にオープンする「お茶の文化創造博物館」と「お~いお茶ミュージアム」は、お茶の今と昔、そして未来を深く掘り下げる。単なる博物館にとどまらない斬新な空間は、文化交流の場であるとともに、お茶が私たちの社会で果たしてきたさまざまな役割を紹介する場でもある。

歴史と現代の融合

 お茶は、日々の暮らしに欠かせないものとして、また、おもてなしの象徴として、人と人とをつなぎ、何百年にもわたる日本の歴史の中で静かにその物語を紡いできた。伊藤園は、旧新橋停車場という歴史的意義の深い場所を、お茶好きや文化愛好家が集う場所にすることで、こうした物語に光を当てようとしている。

 博物館は二つの施設で構成されている。その一つ「お茶の文化創造博物館」は、お茶の奥深い歴史をひも解き、そのルーツ、いれ方の進化、お茶を飲む習慣が文化として浸透した背景をたどる。お茶がどのように社会習慣を形成してきたのか、時代とともにどんな変遷を遂げてきたのかを学ぶのが目的だ。

 もう一方の「お~いお茶ミュージアム」は、日本でおなじみの「お~いお茶」にスポットを当て、現代のお茶の歩みに注目する。缶入りのお茶の開発や、お茶の生産におけるサステナビリティの推進など、茶業界における伊藤園の画期的な取組を知ることができる。

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お茶の文化創造博物館の展示品

見て、体験しよう

 この博物館では、ただ見るだけでなく、インタラクティブな体験もでき、お茶を飲み物としても文化の一つとしても楽しむことができる。テイスティング、ワークショップ、対話型の展示を通じ、お茶の持つさまざまな特性や、お茶が人々の暮らしや世界各地の文化に与える影響について学んでほしい。

 伊藤園の本庄大介社長は、「お茶は単なる飲み物ではなく、人々がつながり、コミュニケーションするための一つの手段です。この博物館の開設によって、お茶、およびそれが歴史や現代の暮らしの中で果たしている独自の役割について、人々の理解を深めていきたいです」と述べている。

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お茶の文化創造博物館の展示品

伝統に根差した未来

 旧新橋停車場にお茶文化の博物館をオープンすることで、伊藤園は、伝統と革新が出会う未来を創造しようとしている。お茶の魅力が伝われば、お茶に対する人々の理解が深まり、時代を超えて愛されてきたこの飲み物を、新しい世代も楽しみ、大切にするようになるだろう。

 日本の文化に興味がある人にとっても、純粋にお茶の作法が好きな人にとっても、この博物館はお茶の伝統や進化をじかに体験できる楽しい場所である。歴史を尊び、今をたたえ、お茶の未来に期待が膨らむ空間だ。

*本記事は、「Metropolis」(2024年4月27日掲載)の提供記事です。
取材・文/ジェシー・カーバット
写真提供/Metropolis
翻訳/喜多知子