未来のヴィンテージを創造する「TOKYO CREATIVE SALON 2026」の挑戦

 3月13日、東京で国内最大級のクリエイティブの祭典「TOKYO CREATIVE SALON (TCS) 2026」が開幕した。10日間にわたり、多様な創造性がもたらす東京の魅力を、世界に向けて発信する祭典を取り上げる。
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TOKYO CREATIVE SALON主催、世界初の古着のファッションウィーク Tokyo Vintage Fashion Week Photo: courtesy of TOKYO CREATIVE SALON

東京のダイナミズムをクリエイティブで表現

 TCSは2020年から毎年3月に開催されているイベントだ。今年のテーマは「FUTURE VINTAGE―過去の記憶を未来へ継ぐ、新たな創造」。実行委員会の統括ディレクターを務める杉山央(おう)氏は次のように解説する。

 「東京は、世界有数のメタボリズム(新陳代謝)を繰り返す都市です。江戸時代に形成された歴史ある街並みを生かしつつ、常に新しい要素を融合させ、変化し続けるダイナミズムを持っています。TCS 2026では、クリエイティブを通じて、この東京ならではの魅力を皆様に体感していただきたいと考えています」

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統括ディレクターを務める杉山央氏

 「これまでのクリエイティブシーンにおいて、脚光を浴びるのは常に『新作』でした。クリエイターたちもまた、新たなものを生み出すことに最大限の情熱を注いできました。しかしTCS 2026では、この東京という都市に蓄積された『膨大なアーカイブ』に目を向けます。それらを現代の感性でアップデートすることで、消費されて終わるのではなく、100年先まで残るような新たな価値を創造します」

ヴィンテージショップ約100店舗が集結!

 主なイベントを紹介しよう。

 3月13日から15日まで、新宿住友ビル三角広場で開催の「Tokyo Vintage Fashion Week」は、東京のヴィンテージ文化にフォーカスするファッションイベントだ。

 「TCS 2026の理念を体現する場として、約100店舗が集結するヴィンテージ・マーケットを展開します。多彩なアイテムの展示・販売にとどまらず、一着一着に宿る時代背景やストーリーをスタイリングで表現するファッションショーを開催します。私たちが目指すのは、来場者がヴィンテージ文化の真の価値を『体験』できる場の創出です。現在、東京のヴィンテージカルチャーは世界中から高い評価を集めています。その根底には、古いものをただ消費するのではなく、新たな価値を与えて次世代へ繋ぐ『循環』の精神が、この都市に深く根付いているからではないでしょうか」

 どれほど技術進化が進んでも、古いものを作り出すことはできない。だからこそ現代の感性を加えることで、ヴィンテージファッションはさらに輝く。

 同じ期間に新宿住友ビルの三角広場では「Focus Exhibition "Tokyo Trace"」も開催。

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都市とクリエーションの関係を可視化する Tokyo Trace Photo: courtesy of TOKYO CREATIVE SALON

 「世界中から熱視線を集める東京発の新進ブランド『NOMARHYTHM TEXTILE(ノーマリズム テキスタイル)』。本展では、デザイナー2人の創造の深層に息づく『東京の痕跡』を紐解きます。単なるプロダクトの展示(閲覧)にとどまらず、彼らのデザイン空間そのものに入り込み、東京という都市が与えたインスピレーションを追体験していただきます」

 他にも日本を代表するファッションアワードである「毎日ファッション大賞」と連携したコラボレーション企画も実施される。

桜舞う9エリアが舞台

 さらに今年は、丸の内、日本橋、銀座、赤坂、六本木、渋谷、原宿、新宿、羽田の9エリアを舞台に展開する「City Wide Program」を開催。各エリアの異なる歴史や文化、街の成り立ちや個性を生かし、ショーや展示などファッション、デザイン、アート、クラフトといった多彩なクリエイティブコンテンツを提供する。

 「東京の真の魅力は、多種多様なカルチャーが入り交じるその『個性』にあります。TCS 2026が展開する9つのエリアは、単なるイベント会場ではありません。街全体がひとつの壮大な体験の舞台です。ひとつの目的地にとどまらず、公式ガイドブックを手に街を歩き、点と点を結んでみてください。過去から現在へと連なる東京のダイナミズムは、その『回遊』という体験を通して初めて、リアルな実感へと変わります。まだ見ぬ東京の鼓動と出会う、これまでにない都市回遊型の祭典を目指します」

 TCS 2026のロゴマークは桜をモチーフに制作した。「City Wide Program」には、桜を楽しめそうな場所も多く取り入れている。

 「桜は日本人が古くから愛でてきたものであり、海外からの旅行客にも人気です。開花時期が合えば街歩きがさらに楽しくなります」

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桜の花びらをモチーフにしたTOKYO CREATIVE SALON 2026のロゴ Image: courtesy of TOKYO CREATIVE SALON

 東京には、TCS2026の舞台となるエリアをはじめ、創造力を刺激する場所が数多くある。杉山氏はこうした場の力に加え、東京にはさらに創造力を支えているものがあると指摘する。

 「東京では、ギャルやロリータといったカルチャーが象徴するように、ストリートには与えられたものをただ受動的に消費するのではなく、自分たちの手で作り替え、過去のものに新たな価値を見いだす精神が息づいています。この『生活者自身がカルチャーを創り出す力』こそが、東京のクリエイティブを世界的なレベルへと押し上げてきました。TCS 2026は、誰もが参加者であり、表現者となれる場です。皆さまの熱量と交わることで、東京のクリエイティブの新たな扉を開きたいと願っています」

 TCS 2026は、次代のクリエイティブを育む新たな体験の場になりそうだ。

杉山央

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東京クリエイティブサロン 実行委員会 統括ディレクター。新領域株式会社CEO/Art+Tech Producer。2025年大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちのあかし」計画統括ディレクター。2027年「GREEN×EXPO 2027」ではテーマ館展示ディレクター等を務め、アートとテクノロジーを横断しながら新たな体験と空間の創造に取り組む。

TOKYO CREATIVE SALON 2026

https://tokyo-creativesalon.com
取材・文/今泉愛子
写真/穐吉洋子