東京の魅力を世界のアニメ・マンガ・ゲームファンへ

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 東京都の最新の統計によると、2024年に海外からの観光客が東京を訪れた理由として、アニメ・マンガを目的とした訪都が人気だったことが挙げられる。実際に来日して「聖地巡礼」するファンに限らず、日本のアニメ・マンガ・ゲームは世界中で何百万人もの人々を魅了している。こうした背景のもと、東京都が世界的に有名なコスプレイヤーのHakken氏を東京観光大使に起用したのも、ごく自然な流れだったといえる。
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東京の夜景を背に立つHakken氏

コスプレの真髄

 コスプレイヤー、モデル、そしてコンテンツクリエイターとして活躍するHakken氏にとって、日本の文化は幼い頃から身近な存在だった。生まれ育ったマレーシアでは、大型ショッピングモールに日本のコンテンツを扱うエリアがあり、地域によっては盆踊りが開催されることもあった。

 コスプレに興味を持ったきっかけは、小学生の頃、ネット上で『NARUTO -ナルト-』のキャラクターに扮した人々を見たことだった。「すごく心を動かされました」とHakken氏は振り返る。2010年からコスプレを始め、現在では数百万人ものフォロワーを抱えるまでになった。

 写真技術やメイク、衣装作りといったクリエイティブなスキルが磨かれただけでなく、コスプレのおかげで世界が広がったという。「コスプレのコミュニティや文化と出会えたことはもちろん、撮影やイベントを通じていろいろな国を訪れる機会にも恵まれました」

 これまでに手掛けた作品の中でも特に人気が高いのは、『ハウルの動く城』のハウル、『犬夜叉』の殺生丸、『NARUTO』のうちはイタチ、『呪術廻戦』の五条悟などのキャラクターだ。

 一つひとつの作品に注ぐHakken氏の熱意と細部へのこだわりは、その仕上がりからも伝わってくる。しかし本人は、コスプレは外見だけを再現すればよいものではないと強調する。「キャラクターを表現するうえで一番大切なのは、そのキャラクターの本質を捉えることです。それこそが、すべての技術を一つにまとめ上げ、コスプレの真髄となる部分なんです」

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ファンミーティングに臨むHakken氏。SNSでの活動は何百万人もの支持を集めている

「居場所」としての東京

 Hakken氏が初めて東京を訪れたのは、高校卒業後まもなくのことだった。「初めての東京は、見るものすべてが夢のようでした。ネットやアニメで見ていた世界が、そのまま目の前に広がっていたんです。本当にワクワクしたのを覚えています」

 「とにかく吸収しきれないほどたくさんのものがありました。東京は多様性に富んだ街なので、やることも尽きません。2週間ほど滞在したのですが、帰国したときには『全然足りない、また行かないと』という気持ちになりました」

 Hakken氏は、東京にはコスプレイヤーとしての「居場所」があると感じている。
「東京では、多彩なコスプレイヤーが、それぞれ独自のスタイルでキャラクターを表現しています。池袋や秋葉原には、アニメやマンガ、ゲームのファン向けの場所があって、そこに行けば何でも手に入ります」

 もともと家電や電子機器の買い物スポットとして知られていた秋葉原だが、現在ではアニメ、マンガ、ゲーム、コスプレ関連の専門店が軒を連ねるエリアにもなっている。一方、池袋はアニメをテーマにしたカフェや、女性ファン向けの店舗が充実している。

 ファンとクリエイターが交流し、互いの情熱を分かち合う場として、イベントは欠かせない存在だ。東京では、年2回開催されるコミックマーケット(通称コミケ)をはじめ、世界最大級のイベントが数多く開かれている。Hakken氏もコミケに参加したことがあり、「快適で、運営が行き届いていた」と振り返る。

 東京ならではの魅力として、コスプレイヤーに人気なのが、誰でも利用できるコスプレ専用スタジオでの撮影だ。Hakken氏は「スタジオのセットは本格的で、よく作り込まれています」と話し、ウィッグやメイク用品、カラーコンタクトレンズまで用意されている点にも触れた。「東京は、コスプレイヤーが創作するうえで本当に便利な街なんです」

 コスプレ以外のファッションにも関心を持つHakken氏にとって、東京はインスピレーションの宝庫だという。「東京のファッションカルチャーが大好きです。表参道にはよく行きます。色々なスタイルが集まっていて、多くの人がファッションで自己表現している場所だからです」

 表参道には、センスの光るブティックから国内外の主要ファッションブランドまで、幅広いショップが集まっている。根津美術館をはじめとする美術館や、上質なレストランも充実している。

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東京には「居場所」を感じられると話すHakken氏

世界中のファンへ東京を発信

 2023年、Hakken氏は東京観光大使への就任を打診された。観光大使は、「東京の魅力を国内外に広く発信し、来訪者の増加や地域の活性化につなげる」ことを目的に、各種PR活動に携わる役割を担っている。

 大使就任の話を聞いた当初は、「本当に?」と驚きを隠せなかったというが、すぐに喜んで引き受けた。「東京観光大使に任命されたのは名誉なことです。この街をもっと知り、この街のために何かできるチャンスをもらえたことを、とてもありがたく思っています」

 観光大使としては、他の団体とのコラボレーションや自身のSNSでの情報発信を通じた東京の紹介を行っている。「行った場所や体験したこと、その場で感じたことを、フォロワーの皆さんと共有しています」

 日本のポップカルチャーにそれほど関心がない人にとっても、東京には見どころがたくさんある。Hakken氏は旅行者に、ぜひ長めに滞在してみてほしいと話す。「東京はエリアごとに雰囲気も魅力も違う。伝統文化もあれば、都会らしい街並みやナイトライフもあります。場所を変えるたびに別の都市を訪れたような気分になれるので、その違いを楽しんでほしいですね」

Hakken

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Hakken氏は、マレーシア出身のコスプレイヤー、モデル、コンテンツクリエイター。アニメ・マンガ・ゲームのキャラクターを緻密に再現することで国際的な知名度を誇る。SNSを通じて注目を集め、写真表現やメイク技術に加え、コスプレとファッション性を融合させた独自のキャラクター表現によって世界中にファンを広げてきた。これまで世界各地の主要なコスプレ・アニメイベントにゲストとして招かれている。2023年より東京観光大使を務めている。

取材・文/アナリス・ガイズバート
写真提供/Hakken
翻訳/舘山 未来