東京都のコロナ対策:飲食店と利用者を守る「徹底点検 TOKYOサポート」プロジェクト
新型コロナウイルスは飛沫によって感染することが多いため、マスクをはずして食事を楽しむ場は特に感染リスクが高いとされている。飲食店はどこもその対策に神経を使っており、利用者にとっても、お店の感染対策が十分かは大いに気になるところだろう。
そんな中、飲食店とその利用者の双方を守ることを目的に都が4月12日から始めたのが、都内の飲食店の対策状況を見回る活動「徹底点検 TOKYOサポート」だ。
このプロジェクトでは、感染対策において特に重要な5つの分野((1)手指消毒の徹底 (2)マスク着用の徹底 (3)間隔の確保、アクリル板等の設置 (4)換気の徹底 (5)コロナ対策リーダーを中心とした取組)について、具体的で分かりやすい20のチェックポイントを設定し、店舗の感染対策の状況を確認している。
東京都総務局総合防災部の 齋藤 健 危機管理調整担当課長は、今回の取組は"点検して終了"ではなく、店舗の状況にあわせたサポートを同時に提供することが特徴と話す。
「東京という土地柄もあって地下にお店があるケースも多く、換気について悩まれている方には、どこにサーキュレーターを置くと空気の通りがよくなるかなど、きめ細かなアドバイスもしています」
また、対象となる全ての店舗へ一日でも早く支援を広げていくことができるよう、デジタルを活用した点検作業の効率化を図っている。以前は紙ベースで点検していたため、紙からデジタルデータに入力し直す手間があったが、タブレットに直接入力することで業務効率を格段に向上させることができた。
「何よりもそうした効率化によって生まれた時間を、より丁寧なサポートの提供や、より多くの店舗訪問に割けるようになったことがうれしい。点検とサポートの両輪で、今後も都内の飲食店全体における感染防止策のレベルアップを図っていきたいと思っています」(齋藤課長)
「徹底点検 TOKYOサポート」を受けた店舗では、証明書(感染防止徹底点検済証)が交付される。お店の目立つところに貼られるので、これを見て利用者は「感染拡大防止策を行っている飲食店」を選べるようになる。
こうした取組を、飲食店はどう受け止めているのか。よく聞かれたのが、「食事中以外のマスク着用を求めたり、大声での会話を控えてもらったりする声掛けがしづらい」といった悩みだ。これを受けて、都ではお声がけカードや啓発ポスターなどの感染防止の取組を支援するツールを提供している。
また、「やるなら徹底的に見回りをしてほしい」「自分たちも努力していかなければならないと思っている」などの賛同するコメントや、「東京都のマークがある卓上ポップや目立つポスターがあってもいいのではないか」といった具体的な要望もあった。
お客は、店内のマスク着用ルールやアルコール消毒というマナーを守る。飲食店は、安心安全な環境で食事を提供する。そして、東京都は、それをサポートする体制を整える。そういった三位一体の輪がどんどん広がっていくことを願う。