モデル・高山都が撮る皇居外苑──自分とともに成長する街・東京~アップデートvol.2

 さまざまな分野のプロフェッショナルが「アップデート」をテーマに、進化する東京を切り取る連載。第2回はモデルや女優、ラジオパーソナリティなど、幅広く活動する高山都。今回、高山が指定した場所は皇居外苑。彼女にとって「思い入れがある場所」だという。その理由を語りながら、彼女は心の赴くままにシャッターを切った。
モデル・高山都が撮る皇居外苑──自分とともに成長する街・東京~アップデートvol.2

 今回、「アップデート」がテーマと聞いた瞬間、頭に浮かんだのは東京・千代田区の皇居外苑でした。それも「皇居といえばここ!」という東京駅側からではなく、その反対側、西の端にある半蔵門駅方面から見た景色です。

 半蔵門駅には、2010年から4年間にわたって音楽番組のパーソナリティを務めさせてもらった「TOKYO FM」があります。DJブースに入ると、窓から皇居外苑が見える。なんて贅沢な空間なんだろうと思ったのをよく覚えています。

 小さい頃から憧れだったラジオパーソナリティになれるなんて、夢にも思っていませんでした。いざなってみると、ゲストとのトークなどで不慣れな部分が多く、上手くできずに泣きながら帰った日もありました。

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 要は力不足だったんですね。私は、「自分をアップデートしなければ」と感じ、自分なりに4年間、試行錯誤を続けました。そのときの挫折がなければ、今の私はなかったと思います。

 皇居外苑は、四季によって景色が変わります。春には桜、5月なら新緑、秋には紅葉、そして冬に葉を落とし、再び春を迎える。そういう繰り返しの中で変化し続ける様子は、「アップデートし続ける皇居外苑」のように私の目には移っていましたし、一緒に成長していけたらと感じていました。

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 19歳で上京した時、私の目に東京は、自由と夢と、そして、可能性に満ちあふれた街に映りました。今も昔も常に眩しい街です。けれど、若くて世間知らず、何も持たない私は、いつも迷ってばかりいました。「この街で生きていくためには、どうすればいいだろう」。そんなことばかり考えていました。

 そこでまず、好きだった音楽にもっと触れることを決めました。ひたすらライブに足を運び続ける日々を重ねて、その延長でラジオパーソナリティも決まりました。

 次に私が始めたのが「ランニング」です。皇居の周辺は、ラジオの収録後によく走っていました。耳にはイヤホン。走りながら聴く音楽は、全身で聴いているような心地よさがあり、身体全体が音楽で包まれる感覚が好きです。走ることで音楽をより深く感じることができるようになりましたし、ラジオパーソナリティとしてもプラスに働きました。

 東京マラソンに出場したこともありますし、現在も月に100kmは走るようにしているんです。というのも、それは「続けると、良いことがある」と知ったからです。冬が過ぎれば、必ず春になる。皇居外苑の移ろう景色から、私はいつもそんなメッセージを受け取っていた気がします。

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 当時も現在も、いつ訪れても美しい皇居外苑。振り向けば、「TOKYO FM」。この位置関係が私にとって、いちばん馴染みのある皇居外苑の景色です。これからも変化し続ける皇居外苑のように、私も常に変化、進化し続けていきたいと思っています。

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高山 都(たかやま・みやこ)

 1982年生まれ。モデル、女優、ラジオパーソナリティなど幅広く活躍中。趣味は料理とマラソン。著書に、自身のライフスタイルを紹介する『高山都の美 食 姿』シリーズがある。
語り・写真 高山 都/ポートレート 川原崎 宣喜/構成 赤坂匡介