東京2020大会の意義と東京都の取り組み|TMCトーク Vol.1

Read in English
 本記事は2021年7月24日に 東京都メディアセンター(TMC)が実施したTMCトークでの東京都知事、小池百合子氏の講演を書き起こしたものです。 動画はこちら
東京2020大会の意義と東京都の取り組み|TMC Talks Vol.1

 皆様、こんにちは。東京都知事の小池でございます。今日はですね、大会2日目です。東京2020大会の意義、そして東京都の取り組みについてお話をさせていただきます。

 全国各地を巡った聖火が、昨日、オリンピックスタジアムの聖火台に灯され、史上初めて1年延期となった東京2020大会がついに開幕をいたしました。長い長い道のりでしたが、この日を迎えられました。多くの皆様のご支援、心から感謝を申し上げます。2回目のホストシティになったことを、大変光栄に思います。世界78億人の人々に、大会を満喫していただきたい、そう思っております。

 現在、世界はコロナ禍と気候危機という大きな課題に直面していますね。新型コロナウイルスで亡くなられた皆様方には、心から哀悼の意を表します。そして日夜、新型コロナウイルスと闘っている、世界中のエッセンシャルワーカーの皆様をはじめ、世界中の皆様に心より感謝を申し上げます。

 昨日の開会式のコンセプト、それは「United by Emotion」。どんなに離れていても、言葉や文化が違っても、スポーツには世界中の人々を感動で繋ぐ力がある、まさに世界が一丸となって、コロナ禍という難局に立ち向かう中で、この大会が、より良い未来への、希望の灯りになることを感じさせるものでした。安全・安心な大会を実現し、成功へと導くため、全力を尽くしてまいります。

 大会はまさに、アスリートの祭典です。この大会では史上最多、33競技339の種目が42の競技会場で開催されます。多くの会場が無観客となる中でも、様々なスポーツで競技に真剣に取り組むアスリートの姿は、コロナ禍の世界に明日への希望を届けるものと確信しています。

 東京2020大会の原点、それは復興オリンピック・パラリンピックなんです。この大会は、東日本大震災で大きな被害を受けた地域の一つである、福島のJヴィレッジから聖火リレーがスタートしました。そして先日、21日ですが、オリンピックの初戦となる女子ソフトボールが福島で開催され、熱戦の火ぶたが切られました。こちらは福島県から送られた、復興のシンボル、ひまわりの花です。スポーツの力で被災地に元気を届けるとともに、復興に向けて、力強く歩む被災地の姿をご覧いただくことで、ご支援いただいた世界の皆様に、感謝を伝えてまいります。

 またこの大会は、「サステナブル・リカバリー」を目指す、オリンピック・パラリンピック大会の新たなモデルを示す大会でもあります。コロナ禍からの復興に際し、ただ元に戻るのではなく、持続可能な回復を成し遂げて、よりよい未来を皆で作り上げていきます。

 これまで、バリアフリー化や多言語対応など高齢の方、障がいのある方、外国人など誰もがやさしさを感じられるまちづくりを進めてまいりました。さらに、大会期間中の円滑な移動を実現するためにテレワーク、そして時差出勤の普及啓発、そして交通需要のマネジメント、これをですね、一体的に進める「スムーズビズ」も推進してまいりました。

 この大会でアスリートに授与されるメダルは、国内外の皆様からご提供いただいた携帯電話などの、「都市鉱山」から集めたその金属を収集して製作したものなんです。また大会で使用する表彰台は、使用済みプラスチックにより製作しております。また、都市型キャップ&トレード制度を活用して、開閉会式の計4日間に都内で排出されるCO2を、ゼロにいたします。

 大会期間中は福島県で再生可能エネルギーを用いて製造された水素が、選手村内の施設の一部で活用されています。また、メディア関係者の輸送の一部に、水素エネルギーを活用した燃料電池バスが走行しています。これらを初めとする様々な取り組みで、持続可能な社会のモデルを世界に示してまいります。

 オリンピックの開催は都市に大きな変革をもたらします。1964年の東京大会は、首都高速道路や東海道新幹線の整備など、日本の高度経済成長を加速させ、今日の成熟社会の礎となりました。そしてこの大会は、デジタル技術や水素社会への加速など、新たな未来を切り開くレガシーを数多く残し、「成長」と「成熟」が両立した社会を創造する、大きな機会になる。そう期待しています。

 東京都ではこの3月に『未来の東京』戦略を策定いたしました。これはコロナ禍の中にありましても、その先にある未来の東京の姿を思い描き、実現に向けた歩みをしっかりと進めるための羅針盤となるものです。東京は自らが「ゲームチェンジャー」となり、日本の持続的な発展を牽引するだけではなく、世界の皆様と協力して豊かな社会を創造していきたい、そう考えています。どうぞ皆様、オリンピックご堪能ください。東京2020大会が多くの方々の記憶にいつまでも残り続ける、史上最高の大会になることを願っております。

 ご清聴ありがとうございました。