女性のリーダーシップとエンパワーメント~世界120位からの挑戦|TMCトークVol.6

 本記事は2021年8月29日に東京都メディアセンター(TMC) が実施したTMCトークでの小池百合子都知事、キャシー松井氏、村上由美子氏によるトーク(鼎談)を書き起こしたものです。
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女性のリーダーシップとエンパワーメント~世界120位からの挑戦|TMCトーク Vol.6

知事:皆さま、今日は。東京都知事の小池です。本日のTMCトークは、「女性のリーダーシップとエンパワーメント」をテーマに素晴らしいゲストのお二方をお迎えしてダイアログ形式で進めていきます。

 まずは、本日のゲストをご紹介します。

 キャシー松井さんと村上由美子さんに、オンラインでご参加いただいております。本日はご登壇ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 初めに、キャシー松井さんをご紹介いたします。松井さんは、ハーバード大学、ジョンズ・ホプキンズ大学院修了後、長年、ゴールドマン・サックス証券で活躍してこられました。女性の社会進出で経済を活性化する「ウーマノミクス」の提唱者でもあります。20年近く、リサーチアナリストとして日本経済と女性の社会進出の動向を見続けてこられ、2020年末までゴールドマン・サックス証券の日本副会長を務めました。今年5月、次にご紹介します村上由美子さんらと共に、ESG投資を重視するベンチャー・キャピタル「MPower Partners Fund」を立ち上げました。素晴らしいですね!

 次に、村上さんについてご紹介いたします。村上さんは、スタンフォード大学院、ハーバード大学院を修了された後、ゴールドマン・サックスなど欧米の金融業界で約20年にわたりご活躍されました。国連、OECD(経済協力開発機構)でも勤務され、今年5月までOECD 東京センターの所長を務められていました。松井さん、村上さん、本日はありがとうございます。

 ではまず、松井さんから一言お願いします。

松井氏:本日、知事とご一緒するこの機会をいただき、こちらこそありがとうございます。

 また、順調に進んでいる東京オリンピックとパラリンピックをリードされているだけではなく、非常に厳しいコロナの状況に対応するために、多大な尽力とリーダーシップを発揮されていらっしゃる事に個人的に感謝したいと思います。知事は私にとってロールモデルであり、大変尊敬しております。

知事:どうもありがとうございます。では次に村上さん、一言お願いします。

村上氏:本日はお招きいただき、改めてお礼申し上げます。小池知事、私達はこれまでにこのようなイベントを沢山開きましたね。東京だけでなく、日本の多様性推進における知事のリーダーシップを、私は常に素晴らしいと思っています。そしてご紹介いただいたように、私達はこのたび、女性が主導する初めてのベンチャーキャピタル・ファンドを立ち上げました。今後も知事と共に、この国の多様性を推進していきたいと思います。ありがとうございます。

知事:ありがとうございます。まず、日本の女性の状況について見ていきましょう。

 世界経済フォーラムが毎年発表する「ジェンダーギャップ指数」、有名なものですね。2021年の日本の順位は120位で、その次がシエラレオネ。日本はG7では最下位でした。なんと残念な事でしょう。特に「政治」、「経済」の領域で男女格差が大きくなっています。また、こちらの「列国議会同盟」の報告書をご覧ください。下院(衆議院)等に占める女性議員の割合ですが、日本は9.9%と、世界平均25.6%よりもかなり低い状況です。SDGs(持続可能な開発目標)で目標の1つにも掲げられているジェンダー平等に向けて、国際社会の動きは活発になっています。

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そうした中、日本におけるジェンダー平等が進まない理由をどのように考えているのか、率直にお聞かせください。キャシー(松井さん)、私達は20年間、このテーマを議論してきましたよね。最初に、松井さんからお聞かせ願えますでしょうか。

松井氏:ご存知のように、私はこの分野で20年以上にわたってジェンダーの多様性やウーマノミクスを研究してきましたが、調査で日本のランキングが非常に低くなる傾向には、いくつか理由があります。

 一番の障害は、ジェンダーの多様性が、実際に経済成長をもたらし、企業業績を押し上げることへの理解が不十分なことです。日本だけでなく、世界中で多くの人がまだそれを理解していないと思います。彼らは、経営の意思決定に多様性を加えたり、多様な考え方を含めたりすることと、企業業績との間に直接的な相関関係があることを理解していません。率直に言って、知事のリーダーシップとその他の日本の先進的な政治家のおかげで、私達は以前よりずっと良い立場にいると思いますが、まだ道半ばです。

 そして他のいくつかの障害、二つ目は、私が無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)と呼んでいる感覚、そして性別役割分担意識のステレオタイプなどです。 もちろん、日本だけでなく、世界中に存在しますが、30年以上日本に住んでいるアメリカ人として、そうしたステレオタイプは日本社会に深く根付いていると感じます。

 三つ目は、柔軟性がない雇用契約と労働市場政策です。もちろんすべての企業に当てはまるわけではありませんが、大企業の場合、若い女性は入社の時点で、キャリアコースに進むか、ノンキャリアの道に進むかを決める必要があります。新しい仕事を始めた最初の数週間で、どちらの道を選ぶかを決めなければならないのは、若い女性にとっては難しいと思います。こうした選択肢に関しては、今日でも柔軟性がほとんどありません。

 四つ目は、不十分なケアのキャパシティです。育児だけでなく、最近では高齢者に対する介護についても十分ではありません。

 五つ目は、税制度が、働く意欲の阻害要因となっていること。女性がフルタイムで働く意欲を削ぐ配偶者税控除の問題にも、知事が大変ご尽力されてきた事は存じ上げています。この税制度のため、多くの日本人女性はパートタイムで働いています。これらが最も一般的な要因だと考えます。

 最後にもう一つ加えるなら、企業や組織内で女性のキャリア管理に十分な焦点が当てられていない事が分かりました。男性にもそのようなサポートは必要ですが、女性には少し特別な焦点、またはマネジメントのサポート、管理職・上級職を追求する奨励が必要になるという傾向です。これらの障害はどれも克服できないものではないと思います。すべて克服できると考えます。ですから、私たち全員が力を合わせる必要があります。

知事:キャシーさん、ありがとうございます。村上さん、いかがですか。

村上氏:私も日本のジェンダー指数は、決して明るい状況でないということに同意見です。それでも私たちがかなりの努力をしたことを知っておく必要はあります...女性の就労を促進するという点で、多くの努力をしました。

 ご存知のように、女性の労働市場への参加を見ると、他の多くのヨーロッパ諸国、あるいは米国と比較しても、今日働く女性の割合において、日本は最も高い水準にあります。これは実際には、残念なデータの中で非常に明るいポイントです。私達は女性の就労を奨励するという点できちんとした仕事をしたと思います。

 ここで問題は、10年、20年前に比べてより多くの女性が働いているにもかかわらず、その多くがリーダーシップを発揮する立場にいないという点です。女性が意志決定過程の場に含まれていない、それが日本の問題なのです。これは単に男女の問題だけでなく、年齢、国籍、異なるタイプの人々を含む一般的な多様性の問題でもあり、この人達が同じテーブルに座ると、異なる意見、異なる視点を得るというチャンスがあるのです。

 異なる意見や見解があると、「箱」の外にある解決策を思いつく機会になります。そうすることで、人は、よりイノベーティブになります。企業も、国も同様です。それが多様性から得られる最も大きな利点の一つであるということを、日本も、社会も、しっかり理解する必要があります。差異を受け入れる文化を促進することが必要なのです。人々は、自身が同意しない事(反対の意見)に同意することがいかに重要であるか、理解する必要があります。

 最も重要なポイント、心に留めておくべきことは、特に次世代の若者達が、ジェンダーのステレオタイプや、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)を醸成しないように、私達全員が力を合わせて取り組む必要があるということです。百聞は一見にしかず。つまり、小池知事、あなたのように、世界最大の都市の一つで、知事として女性が影響力のある立場にあることは、多くを物語ります。若者があなたを見て「女性があのポジションにいる」と言う。これは大きな違いを生みます。

知事:ありがとうございます。お二人とも非常に本質的な点を指摘されていました。これらの困難を克服することが待ち望まれます。意思決定の場に女性が少ないということが日本社会でジェンダー平等が進まない要因と言われています。私は47人の都道府県知事のうち、二人しかいない女性知事の一人です。ジェンダー平等は女性だけでの問題ではなく、女性も男性も自らの人生、将来を選ぶことができる、活力ある社会につながる問題です。そのような社会になるにはどのようにしていったらよいのか。海外の好事例などもご存じでしたら教えて下さい。

 村上さんからお願いします。

村上氏多くの優良事例があります。例えば、教育現場においては、他国ではジェンダー主流化のポリシーを採用しています。このポリシーのもと、教室では教科書から教師の(言動)まで、全てを調べてジェンダー・バイアス(偏見)が無いかを確認します。例えば、1年生向けの教科書に男性医師と女性看護師しかいない場合、1年生はどんなことを考えると思いますか。女の子は、「大きくなったら、医師ではなく看護師になる」。男の子は「看護師ではなく、医師になる」。これはとってもシンプルな例ですが、私は、とても早い年齢から取り組むことが重要だと思います。とてもシンプルなことですが、非常に重要なことです。これは教科書の一例にすぎませんが、このような例は沢山あります。こうした例から始めましたが、キャシーがビジネス環境で実行できる他の例についてお話しできると思います。

知事:ありがとうございます。キャシーさんはいかがでしょうか。

松井氏:そうですね、世界の優良事例を踏まえて、我々が行った多くの研究からつくった5つの提言は、日本が検討するに値するものかもしれません。例えば日本政府は2015年に女性活躍推進法を成立させました。この法律以前は、(ジェンダーの)開示要件がこの国では全くなかったので、率直に画期的なものでした。当時、300人以上の従業員を抱える組織は、ジェンダーに関する統計を開示することを余儀なくされ、また企業にジェンダー目標を設定するよう促しました。それは良い第一歩でしたが、私の提言はさらに前進することです。何十年にもわたって日本の株式市場を分析してきたリサーチアナリストとして、企業間、業界間で比較可能なデータが必要でしたが、日本企業が提供していた多くのデータは、見栄えは良いけれども、標準はありませんでした。各社が独自の定義を持っていて、多くのジェンダー・データを開示している企業もあれば、それほど多くを開示していない企業もありました。したがって、ジェンダー関連の開示に関するより厳格な命令・義務付けが一つ目です。

 二つ目は、これは知事のお考えにも近いものが有るかと思いますが、議会におけるジェンダー・クオータ制度(議会における男女間格差を是正することを目的に、性別を基準に女性又は両性の比率を割り当てる制度)です。日本のランクが非常に低い理由の1つは、多くの国が実際に議会のクォータ制を実施しているためです。これを行うには多くの方法があり、多くの意見が日本にある事を知っていますが、このプロセスをすぐに開始しないと、その針を実際に動かすのに何世紀もかかる可能性があります。これは私の個人的な意見です。

 三つ目は男女間賃金格差の開示です。これはとりわけ民間セクターに限ったものではなく、グローバルなレベルで妥当性があります。企業CEOが「わが社には、男女間の賃金格差はない」と断言することが多くありますが、実際のデータを見ると、殆どの場合、男女間賃金格差があります。従って、そのあたりの情報開示を要求するのです。税の阻害要因とそれらを是正することについてはすでに話しました。

 最後に、(村上)由美子と私が変えようとしていることは、女性の起業家精神を促進することです。 例えば、政府が、女性などマイノリティが所有する企業に対して優遇措置を講じてはいますが、より頑強に、より広範囲にできるはずです。(たとえば)低金利ローンや、顧客獲得の支援などです。知事は、この分野で多くのリーダーシップを発揮してきましたが、もっと全国的な規模になってほしいと思います。それは日本にとって大きなチャンスだと思います。

知事:ありがとうございます。

 意思決定プロセスに多様で新しい視点が必要というご指摘を先ほどの議論でもいただきました。東京都のケースをご紹介したいのですが、2016年に女性初の東京都知事に就任して以来、東京都では女性職員を積極的に登用してきました。ジェンダー平等には男性側の意識改革、男女の役割意識の変革も必要です。都庁では、男性も育児休業取得しやすい環境づくりに努めるなど組織文化を変える取組をしています。男性の育児休業取得率も私が就任した2016年度の6.5%から、2019年度は18.3%へと向上しています。

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 東京が誰にとっても自己能力を十分に生かし、輝ける街であるために、女性のエンパワーメント、能力活用、声の反映が大切です。

 東京都では、2018年度から、女性リーダーなどを対象に「NEW CONFERENCE」を開催しています。NEWNetwork to Empower Entrepreneurial Womenの略です。これは、「女性社長が動かす東京の未来」を理念に掲げた会議です。お二方のようなケースです。著名な女性経営者等を講師として招聘し、ビジネスの成長に向けて挑戦すべき課題等を幅広く議論するというもので、キャシーさんと(村上)由美子さん、ご両人にもご参加頂きました。女性経営者などのネットワーク構築やノウハウの共有には大きな意義があると考えます。お二人は、お話にあったように、つい最近、投資会社を起業されたと伺っています。起業を目指す女性、起業された女性に対するアドバイス等、起業支援という側面からも、アドバイスがあればお願いいたします。

 キャシーさん、いかがでしょうか。

松井氏:ありがとうございます。(村上)由美子と私、そして3人目のゼネラルパートナーの関美和さん、私達の経歴はそれほど起業家精神にあふれていません。私達全員、キャリアの殆どを大きな組織や企業で過ごしましたので、この起業家精神の旅に乗り出したばかりで、毎日新しい事を学んでいます。まだ初期段階ですが、3つのアドバイスを共有できればと思います。

 第一に、達成したいことの明確なビジョンと使命を持って始める事。単に女性が(起業するから)重要というだけでなく、自分のビジネスが、どのように、何が、他のビジネスと差別化されているか明確にすることが、特に女性にとって重要だという事です。差別化要因は重要だと思います。私達がベンチャー・キャピタル投資へのESG包摂を重視し、日本で初めてこの種のベンチャー業界への投資を行ったことが、私達の重要な差別化要因です。

 第二に、ビジネスを展開する上で必要なすべての要素の中で、絶対的に最も重要な決断は、誰と一緒に働くか、誰がパートナーであるか、誰をチームに採用するかです。言うまでもなく、小規模な企業にとっては、一人ひとりが重要です。一人ひとりが貢献できることが。勿論、ビジネスがうまくいっているときは、良い人で十分でしょう。しかし、ビジネスがうまくいっていないときには、人間の質が試されます。したがって、賢く人を採用し、誠実さと信頼に基づいた組織を構築してください。

 最後に、知事がおっしゃったNEW CONFERENCEの特徴は、サポーターのネットワークを構築することです。私の30年間の金融業界でのキャリアを通じて、男性はネットワークを構築するのに非常に優れており、非常に自然であることがわかりました。女性は、よくできる人もいますが、ほとんどの人は助けが必要かと思います。自ら求めなければ、何も得ることができません。これは私の人生の原則の一つです。人々に助けを求めてください。多くの人は寛容で、自らの時間と、知識と、専門性を、他者を助けるために使ってくれます。私たちは新入りで、この分野で始めたばかりです。だからこそ、法律や会計の専門家達から学び、ビジネス構築に役立てていくことが本当に重要です。人には助けが必要で、それはまた互恵でもあるからです。誤解しないでください。私達はネットワークの中で本当に親切な人々に囲まれて、とても幸運でした。

知事:ありがとうございます。村上さん、いかがでしょうか。

村上氏:キャシーとやや似ているのですが、日本語には2つの異なる意味を持つ単語があります。 "違う"は「異なる」と「間違う」という、2つの意味があり、完全に異なる意味です。これは日本の文化を反映していると思います。日本にいると他と違っているのは、間違いと思うかもしれません。私は、人々、特に女性がそのように考えないようにしたいのです。ビジネスにおいて、またスタートアップの分野では、異なることは、一番の武器です。自分が違っていることを誇りに思ってください。そして、日本にはまだ女性起業家がそれほど多くないので、違っていくでしょう。 うまくいけば、それが変化につながるでしょう。それが一番だと思います。皆と違ってください。

知事:ありがとうございます。お二人のアドバイスは非常に重要で、鼓舞されるものです。どうもありがとうございました。

 東京都でも、国際金融都市を目指す上で、ESG投資の普及促進は重要と認識し、様々な取組をしています。実際、お二方の会社はESG投資の分野をリードしており、その分野でどのように成功するかを楽しみにしているところです。このあたり、村上さん、いかがでしょうか。

村上氏:多くの場合、人々がESGへの投資について話すとき、それはソーシャル・インパクト投資、またはCSR(企業の社会的責任)、ある種のイノベーティブなチャリティ関連の活動であると考えます。しかし実際には、ESGはコストと見なされるべきではなく、企業価値の向上につながります。その観点から、投資で良い利益を得たいのであれば、もちろん主流企業のESGを見なければなりません。それが、私たちが見ているところです。ESGをファンドに包摂しているため、ファンドとして高い経済的または財務的パフォーマンスを実際に達成できると考えています。

知事:ありがとうございました。キャシーさんいかがでしょうか。お二人が立ち上げた新しい会社のESGに関する視点についてもお話しいただきたいと思います。

松井氏:ESGまたは持続可能な投資のグローバルな状況を見ると、それは爆発的に成長しています。現在、ESG資産は約35兆ドルであり、さらに1520兆ドル、つまり現在の米国のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P500種指数の規模で成長すると予想されています。 このカテゴリーの投資において、米国株式市場のまた別の規模を拡大しています。(村上)由美子が指摘したように、それはパフォーマンスの向上に人々が気付いているからだけでなく、COVID-19について考えると、世界中の誰にとっても明白です。財務指標だけ見るのではなく非財務指標を見て、「あなたの会社はコミュニティにどのような影響を与えていますか」、「サプライチェーンの環境フットプリントをどのように管理していますか」。これらは現在、世界最大の投資家によって提起されている質問であり、企業はもはやそれらの難しい質問を回避したり、無視したりできません。企業は答えなければなりません。世界は本当に変わったと思います。 これは単にESGの一過性のトピックで、明日はまた別のテーマになるというものではありません。私達はこれを強く信じているから、このファンドを始めました。日本がこの「三方良し」の概念を生み出したのは興味深いことです。これは、純粋なアングロサクソンの株主資本主義とは対照的に、より利害関係者ベースの資本主義ですが、ESGにはこの「三方良し」の思考が少しあります。日本、東京が世界のESG投資のリーダーになることを期待しています。

知事:ありがとうございます。今後ESG投資がますます注目され、こうした観点は企業側からも重要になってきますね。

 さて、8月8日、オリンピック閉会式で、2024年開催都市であるパリのイダルゴ市長に旗を引き渡しました。史上初めて、女性から女性への引き渡しとなったことをご存じでしたか。「多様性と調和」がコンセプトの東京大会を象徴しています。大会を契機に、ジェンダー平等の実現した、より良い未来へとつなげていくことが必要であり、人権尊重の理念が社会に根付いていく、このことこそが大会のレガシーとなると考えています。

 本日は貴重なお話を伺うことができました。キャシーさん、由美子さん、ありがとうございました。

小池百合子

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兵庫県生まれ。カイロ大学卒業。経済キャスター等を経て1992年に参議院議員当選。1993年から衆議院議員を8期務める。この間、環境大臣、防衛大臣などの要職を歴任。環境大臣のときには、「クールビズ」の旗振り役を務める。2016年、女性初の東京都知事に就任し、2020年に2期目を迎えた。待機児童対策や女性の活躍推進など、積極的に取り組んでいる。「大義と共感の政治」が信条。

キャシー松井

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ゴールドマン・サックス証券会社、元日本副会⻑およびチーフ日本株ストラテジスト。1999年に提唱した「ウーマノミクス」の概念はその後広く世界に浸透し、日本政府も女性活躍推進を経済成⻑戦略として打ち上げるに至った。多様性、コーポレートガバナンスと持続可能性を経済合理性の観点から分析し、多くの企業や投資家に影響を与えている。2020年に『女性社員の育て方、教えます』を出版。ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学院卒。

村上由美子

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OECD(経済協力開発機構)東京センター元所⻑。内閣府、経産省、外務省など多くの審議会で委員を歴任。2016年に上梓した『武器としての人口減社会』はアマゾン経済書部門にてベストセラーとなる。OECD以前は、主にニューヨークおよびロンドンのゴールドマン・サックス証券会社のマネージメント・ディレクターとして約20年間勤務。カンボジアの国連平和維持軍や、東カリブ海地域の経済開発援助にも携わった。上智大学、スタンフォード大学院、ハーバード大学院卒。
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