様々な視点から見た暖簾の価値を、世界に届けたい

出典元:「江戸東京きらりプロジェクト」
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 着物の手入れに関わる工程を取り仕切る "悉皆屋"(しっかいや)として、1923年に創業した中むら。休眠期間を経て、2014年に、暖簾のプロデュース事業として再稼働し暖簾の持つ価値を世界に発信し続けている。そんな活動の一つとして、2020年に、伝統、文化、建築、芸術、そしてテクノロジーの分野から8人の専門家たちと暖簾について語った冊子『暖簾考 ~NOREN ENTRANCE TO JAPANOLOGY~』を作成した。

 この中で、和菓子の老舗として、およそ500年前から暖簾を掲げ続けている「虎屋」の代表取締役黒川光博さんはこんな経験を語っている。

 「40年前にパリの店舗をオープンした際に、最初はパリの街の景観を損ねるので、暖簾を掲げてはいけないと市から言われたのです。でも、暖簾とは単なる広告ではなく、店が開いていることを示す文化的な価値があるものだと、現地の景観を保全する委員の方が丁寧に説明してくださったことで、暖簾を掲げることを許されました」

 冊子を企画・監修した四代目の中村新さんは、このエピソードを通して、海外の人にも真摯に向き合い、暖簾の持つ価値や意味を伝えることの大切さを改めて感じたという。

 他にも、建築家の隈研吾さんは、店先や屋内を仕切る「境界」としての暖簾について、ロバート・キャンベルさんは江戸の文化と暖簾についてなど、それぞれが独自の視点から魅力を語っている。

 「様々な視点で暖簾の文化や魅力を伝えることで、日本文化や暖簾について目をむけるきっかけとなることを目指しています。」と中村さん。

 冊子の内容は2021年2月3日にリニューアルオープンした中むらのwebサイトでも配信され、さらなる拡散を目指してしている。

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※本記事は「江戸東京きらりプロジェクト」(2021年2月4日)の提供記事です。