「国際女性デー」に考える、ジェンダーによるハンディのない社会

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  「ジェンダー平等」が広く意識され、多くの人が声をあげるようになった現代。3月8日の記念日「国際女性デー」を前に、ジェンダーによるハンディのない社会について考える。
iStock.com/Sviatlana Barchan

記念日の始まりは女性参政権を求めるデモから

 春の足音が聞こえて来る季節。日本の春の象徴は桜だが、ヨーロッパのとくにイタリアや南フランスのようなあたたかい地域では、ミモザが冬の終わりを告げる花として知られる。鮮やかな黄色に、丸く咲いたかわいらしい花。そんなミモザは、毎年3月8日の「国際女性デー」に女性に贈られる花だ。

 「国際女性デー」は、1908年にニューヨークで起こった女性の労働条件の改善と、参政権を求めるデモが起源とされている。アメリカは建国時から「自由と平等」を掲げる国として知られるが、当初、その「平等」に女性は含まれていなかった。しかし、デモに参加した人々の訴えや、その意志を継いだ人々の行動により、女性の権利を求める運動は、アメリカのみならず、ヨーロッパ各地にも広がっていく。

 女性の普通選挙権の獲得、公職に就く権利、職場での差別をなくすこと、ときには反戦運動まで、ニューヨークからはじまった運動は時代によって様相を変えながら、少しずつ実を結んでいった。欧米では「全米女性の日」、「女性の日」といったいくつかの記念日が生まれ、1975年、改めて国連が毎年3月8日を「国際女性デー」として祝った。その後、1977年の国連総会で正式に決議されたのだ。

先進国のなかでも後れをとる日本の「ジェンダー平等」

 2015年には国連によってSDGsという新しい国際目標が誕生する。17の目標のうち、5番目に掲げられたのが「ジェンダー平等」だ。性別による差別や不平等をなくそうという意識は世界中に広まっている。それでは、わたしたちが暮らす日本では、「ジェンダー平等」をどう受け止めているのだろうか。

 2021年3月、世界経済フォーラムは「ジェンダー・ギャップ指数2021(グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2021)」を発表した。これは、「経済」「教育」「医療へのアクセス」「政治参加」の4つの分野で評価されるもので、156か国中、1位はアイスランド、2位フィンランド、3位ノルウェーと、北欧各国が高い評価を得ている。対して日本はというと、120位。残念ながら、これは先進国の中では最低のレベルだった。

 その理由は、女性の衆議院議員の割合が10%に満たないなど、女性の政治参画割合の低さ、女性の管理職の割合の低さ、女性の平均所得が男性の約半分であることなどがあげられる。日々のニュースでも、女性へのセクハラや性暴力の被害者に対する理不尽な扱いなど、決して胸を張ることのできない出来事が目につく。日本の女性たちにとっては、桜の花の遠い、厳しい冬が続いていると言えるのかもしれない。

どんな性に生まれても自分らしく生きられる社会へ

 こうした現状を改善していくために、日本国内でもさまざまな取り組みがなされている。東京都では、家庭と両立しながら再就職を目指す女性のための応援イベント「レディGO!Project」、女性起業家に特化した国内最大規模の支援プログラム「APT Women(アプト ウィメン)」、女性の活躍推進へ貢献した個人や企業を表彰する「東京都女性活躍推進大賞」などの取り組みを行っている。

 また、こうしたジェンダー平等の動きは地方自治体にとどまらない。2022年4月には「改正女性活躍推進法」が施行される予定だ。この法律は、女性が社会で活躍しやすい環境をつくることを目的としており、4月からはより多くの企業に女性の活躍状況の把握や、課題分析といったものが求められるようになる。

 「ジェンダー平等」というと女性にフォーカスがされがちだが、もちろん女性だけでなく、男性にとっても暮らしやすい社会を形成することが求められている。また、性のあり方はグラデーションのようで、「女性」「男性」という単純なくくりにとどまらない。多様な性を認めることも「ジェンダー平等」だ。東京都は2022年度にパートナーシップ制度を導入する方針で、従来の性にとらわれない制度が整いつつある。

 どんな性であっても、この社会で暮らす当事者であることに変わりはない。今年の「国際女性デー」は、自分にとって最良な社会がどんな形であってほしいか、思い描いてみてはどうだろうか。

2022年度は「レディGO!Projectプラス」として開催予定

東京都の2022年度予算案では「女性の活躍促進」のため、性別による「無意識の思い込み」に対する意識啓発をはじめとする「男女平等参画推進に向けた意識改革」事業(7,000万円)、「男性育休取得促進に向けた普及啓発事業」(1億円)など新規事業も盛り込んでいる

国際女性デーに合わせて、東京都では小池知事からビデオメッセージを公開しています。
ぜひご視聴ください。