サステナブルな日常へ、給水アプリmymizuで意識が変わる

 飲み水の提供に対応する店舗や施設を世界で20万カ所以上紹介し、ペットボトル削減に役立つ給水アプリ「mymizu」。共同創設者のひとり、マクティア・マリコ氏にプロジェクトの立ち上げや展望について聞いた。
日本初の無料給水アプリ、mymizu。シンプルで使いやすい。

世界20万カ所の給水スポットを紹介

 「mymizu(マイミズ)」は、2019年にスタートした無料の給水アプリだ。飲み水を無料で提供する施設や店舗がマップ上に示されており、マイボトルを持参すれば飲み水を得ることができる。ショップにとっては、飲み水を提供するmymizuの給水パートナーになるとペットボトル削減に貢献できるほか、来訪客の増加が見込まれるという利点もある。

 現在、mymizuの給水スポットは日本に11,000カ所以上、世界には200,000カ所以上ある。またmymizuアプリに記録されたペットボトル削減数は約505,000本(2022524日現在)で、この1年で5倍に増加した。東京だけでも約3,150カ所のmymizu給水スポットがあり、プロジェクトに賛同し参加する店や施設は増え続けている。

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カフェやスポーツ用品店などさまざまな業種の店舗がmymizu給水パートナーに登録している。

 無料の給水スポットの場所がすぐにわかり、ペットボトル削減に役立つmymizuアプリは、どのようにして誕生したのか? 共同創設者のマクティア氏は次のように語る。

 「2018年に沖縄を訪れた時のことです。大量のペットボトルごみが海岸を覆っている光景を見てショックを受けました。日本は安心して水道水を飲めるはずなのに、と。もう避けては通れない問題だと強く感じ、仲間と無料給水アプリを立ち上げることにしたのです」

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マクティア・マリコ氏はロンドン大学を卒業後、中日新聞社ロンドン支局、駐日英国大使館での勤務を経て、2017年に東京でSocial Innovation Japanを共同設立。幼い頃から自然が好きだったと語る。

mymizuに多方面から寄せられたコラボの依頼

 mymizuを運営するSocial Innovation Japan(ソーシャル イノベーション ジャパン、以下SIJ)は、日本において社会課題に取り組む人やビジネスを支援することを目的とし、2017年にマクティア氏、ルイス・ロビン・敬氏、大野桂子氏が共同設立した団体だ(2019年より一般社団法人)。SIJは企業や官公庁、ソーシャルチェンジメーカーとともに持続可能な社会について考え、変化を起こしてきた。これらの経験がmymizuプロジェクトにも生かされているとマクティア氏は言う。

 「環境問題や気候危機はとても大きな問題で、根本から対策を考えようとすると自分は無力だと感じます。そこでまず私たちはウェブでmymizuのコンセプトを掲げ、多くの人に共通する課題を提示しました。すると多方面からパートナーシップの申し出をいただいたのです」

 こうして企業や地方自治体、教育機関と一緒に、マイボトルの利用を促しペットボトルを削減するキャンペーンをいくつも実施してきた。水に関係する企業だけでなく、サステナブルな商品をつくりたい会社はたくさんあるという手ごたえを感じているそうだ。

 「サステナブルな商品を売るためには、環境問題に多くの人々が関心をもつ社会をつくらなければならない。そのためには企業や行政がノウハウやネットワークを持ち寄って手をつなぐことが必要です。mymizuがそのきっかけとなり、サステナブルが当たり前のことになれば嬉しいですね」

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海岸清掃を行うイベント、mymizuビーチクリーンも実施。団体や企業と共同開催することもある。

東京の水には強みがある

 またマクティア氏は、水に対する個人の感覚の違いにも注目している。

 「味の好みは人それぞれですし、年代によって水に対する意識の違いもあります。高齢の方は『ペットボトル入りの水を買うなんてもったいない』と言うし、若者は環境意識の高さや、経済的な面からペットボトル飲料を買わない人が多い。けれど、そんな若者も社会人になると手軽さからペットボトル飲料を買ってしまうのです。水道水の味が好みではないという人には、浄水器の使用を薦めています。家庭の調理に2リットルのペットボトル入りの水を使うのをまずやめましょうと」

 東京の水道水に関していえば、水質検査の基準が厳しく、安全であるという強みがある。さらにマクティア氏は世界的に見ても東京の水道水はおいしいと感じるという。東京の水のよさが伝わり、給水スポットが増えていけばマイボトルの利用者も増えていくだろう。

 mymizuはペットボトル削減のほか、災害などで物流がシャットダウンした時に、飲み水を探す際にも役立つ可能性がある。さらにmymizuを通して「環境を守りたい」という同じ目標をもつ人々がつながり、コミュニティを形成するという効果もあるとマクティア氏は言う。最も身近な飲料であり、私たちの生活に欠かせない水について考えることは、環境を変えていく一歩になるのだ。

mymizu www.mymizu.co

取材・文/久保寺潤子 写真提供/mymizu