東京の大自然、2つの「都民の森」を知っていますか?
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豊かな森林が広がる東京西部
都市のイメージが強い東京都だが、実は面積の約4割を森林が占めている。その豊かな自然に親しんでもらおうと、都が特定の地域を指定し、約30年前に誕生したのが2つの「都民の森」だ。
東京西部の山あい、東京都西多摩郡檜原村内に「檜原都民の森」、東京都西多摩郡奥多摩町内に「奥多摩都民の森」がある。ともに埼玉、山梨、長野の3県と東京にまたがる秩父多摩甲斐国立公園内に位置し、アクティビティの拠点となる施設が運営されている。それぞれの特徴や楽しみ方を紹介しよう。
檜原都民の森は、気軽なプログラムが人気
檜原都民の森は、奥多摩三山の最高峰である三頭山(みとうさん、標高1531メートル)とその麓に広がる地帯で、広さは197ヘクタール。実に東京ドーム42個分と広大だ。山頂付近には希少なブナ林が広がり、季節ごとにさまざまな野鳥が見られる。登山者をはじめ、サイクリングやツーリングを楽しむ人々が訪れており、2022年5月には来訪者が700万人を突破した。
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標高1043メートルに立つ「森林館」をハブとして、数多くのイベントが開催されている。たとえばガイドが案内する自然教室では、夏季は鮮やかな青色が美しい夏鳥のオオルリや渓流に棲むサンショウウオなどの観察、冬季は森のモミの葉を使ったクリスマスリースづくりや雪山のアニマルトラッキングガイドといった、大人も子どもも楽しめる企画が用意されている。
テーブルや椅子などの本格的な家具をつくる木工教室のほか、予約なしでも参加できる木材のキーホルダー作りや丸太切り体験も好評だ。また、新たにクライミングウォールも設置された。レストラン「とちの実」では檜原村特産の舞茸などを使ったメニューもあり、思い立って訪れても、一日中楽しめるのがうれしい。
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檜原都民の森管理事務所の森川守所長が特にお薦めするのは、森林館から見どころの一つである三頭大滝へ向かう「大滝の路」の散策。2007年、NPO法人・森林セラピーソサエティが癒やしの効果が実証されたとして「森林セラピーロード」に認定した散策路である。道はウッドチップが敷かれて歩きやすい。森川所長は「森の中をゆっくり歩けば癒やされて元気が出てきますよ。周辺は真夏でも日中の気温が20度台の日が多く、過ごしやすいです」と話す。
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1泊2日の贅沢な自然体験もできる、奥多摩都民の森
奥多摩都民の森は、春のカタクリの花が美しい御前山(ごせんやま、標高1405メートル)とその麓、広さ82.4ヘクタールの地帯だ。カラマツやスギ、ヒノキなどの林が広がり、「体験の森」エリアで林業や登山の体験プログラムを実施。栃寄(とちより)集落にある宿泊施設「栃寄森の家」を活用した1泊2日のプログラムがほぼ毎週末行われており、東京のみならず関東周辺から自然愛好家が訪れる。
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林業プログラムが充実しており、「山しごと体験」と題し、年間を通じて植林や木々の生育を促す下草刈り、枝打ちなどをインストラクターが教えている。体験を通じて林業の楽しさや大切さを伝えるのが狙いだ。参加者の中にはここで学んだ技術を、その人の地元の里山で活かしている人もいるという。
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登山プログラムは多彩で、定番の御前山に加え、奥多摩周辺の山々に登るものもある。また、女性を対象とした「集まれ山ガール」というプログラムは、初日に登山装備やテントの設営、山での調理などの基本的なノウハウを学んだ上で、2日目に山に登る流れが組まれていて、初心者も参加しやすい。ほかにはサイクリング、キャニオニングやパックラフトなどの川遊び、渓流釣りのプログラムも人気がある。
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奥多摩都民の森管理事務所の杉田春彦所長は「林業体験や登山を通して、森林を身近に感じていただきたいですね。特に、林業の作業を体験すると、森へ入った時の木々の見え方が変わってきます」と話す。
日帰りで気軽に自然を感じられる檜原都民の森と、宿泊もでき、じっくり山林と向き合える奥多摩都民の森。2つの都民の森は、多くの人々のウェルビーイングに欠かせない貴重な宝なのだ。
写真提供/東京都檜原都民の森、東京都奥多摩都民の森