手ぶらで訪れても釣りが楽しめる、若洲海浜公園海釣り施設

 東京都江東区の埋め立て地に整備された若洲海浜公園の海釣り施設は、初心者が手ぶらで訪れても海釣りを楽しむことができる、都内でも珍しいスポットだ。
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隣の釣り人との間隔を2メートルあけるよう促しており、外国人対応の一環として英語表記もある。Photo:SUKEN/PIXTA

3密を避けられるレジャーとして釣り人気が再燃

 東京都が出資する「東京港埠頭株式会社」が、若洲海浜公園を管理しているが、同社の公園事業部 宮島雄一氏によれば、最近は釣り人の数は増加傾向にあるという。

 「コロナ禍で旅行やライブイベントなどが自粛される中、釣りは3密を避けながら楽しむことができるとあって、子連れのファミリーの間で人気が急上昇しているように感じます。休日には東京都内はもちろん近県からも続々と釣り好きの利用者が訪れており、多い日は500人以上の釣り人で賑わいます。カップルや家族連れも多いのですが、最近はアジア圏を中心に、外国人の釣り人も増えてきています」

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幅5メートル、長さ570メートルの防波堤。鉄柵があるため、子連れでも安心だ。Photo:TOKYO PORT TERMINAL CORPORATION

 若洲海浜公園は、東京都が管理する公園の一つで、キャンプ場やサイクリングロードもあり、バーベキューを楽しむこともできる。「誰もが釣りを楽しめる釣り公園」を目指して、1990年代から次のような取り組みを続けてきた結果、今では都内有数の釣りスポットとして知られるようになった。

 1991年に岩場(人工磯)、1994年に中央の防波堤を開放し、海釣り施設としてのエリアを確保。さらに2009年に釣り具などを扱う売店を開店したことで、「手ぶらで訪れても釣りが楽しめる」という付加価値のついた、魅力的な釣りスポットになった。

 「仕掛けや餌など釣り関連の商品のほかに、ドリンク類やカップラーメンなどの軽食も販売しています。釣具セットのレンタルも好評で、釣りに精通したスタッフが釣り方、ポイントなどを丁寧にアドバイスしています」と宮島氏は語る。

趣の異なる3つのエリアを入場無料で開放

 若洲海浜公園の釣り場は「キャンプ場前の護岸」「中央防波堤」「人工磯」の3つだが、すべて使用料は無料で、それぞれのスポットは趣が異なる。

 キャンプ場前の護岸は、ピクニック感覚で釣りを楽しむ家族連れが多く、東京ゲートブリッジを望むパノラマを眺めながら釣りを楽しむカップルも多い。幅5メートルほどの防波堤には鉄柵が設置されており、子連れでも安心して楽しめるエリアだ。その先にある人工磯は、上級者の利用が多い。

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10トンの石や岩を積み上げた人工磯。魚種が豊富で大物も狙える人気のスポットだ。Photo:TOKYO PORT TERMINAL CORPORATION

 「公益財団法人日本釣振興会が若洲エリアでカサゴの稚魚を1万匹も放流するなど、業界団体と連携しながら、魚の保護活動にも力を入れています。また、子どもや女性を対象とした釣り教室なども開催していますが、今後は魚種別の大物を競う釣り大会なども企画していきたい」と語る宮島氏。

 都内はもちろん、近県の住民や外国人からも支持される若洲海浜公園の海釣り施設。自然保護も視野に入れながら、さらなる発展を続けていく、この施設の今後に期待したい。

取材・文/POW-DER