フードロス削減と社会貢献を両立するECサイト「Kuradashi」

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 環境省から「食品ロス削減推進表彰」環境大臣賞に選ばれるなど、フードロスへの取り組みが高く評価されている株式会社クラダシ。同社が運営する「Kuradashi」は、社会貢献もビジネスモデルに組み込んだユニークなシステムだ。
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食品のほか、日用品、美容・健康ジャンルの商品も扱う「Kuradashi」のECサイト

食品流通の抱える問題点と真摯に向き合う

 消費可能な状態にも関わらず、通常の流通ルートでの販売が困難であることが理由で、食品が大量に廃棄されている。農林水産省の2022年6月の発表によると、日本のフードロスは年間522万トン。これだけ多くの食料が廃棄されている要因の一つに、食品流通における「1/3ルール」がある。

 「1/3ルール」とは、製造日から賞味期限までの時間を「製造日から納品期限」「納品期限から販売期限」「販売期限から賞味期限」に3等分して関係者がシェアする考え方だ。納品期限までに小売りに納品されなかった商品は、卸からメーカーに返品される。店頭で販売期限までに売れなかった商品は、小売りから卸に返品され、一部は値引き販売を継続。常に新鮮な商品が並ぶ店頭の裏で、賞味期限までまだ時間的な猶予がある商品が処分されている。

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株式会社クラダシ 代表取締役社長の関藤竜也氏。商社勤務を経て「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」ことをモットーに、2014年同社を起業。

 食品メーカーは、一定のボリュームで商品が廃棄されることを前提に生産量や販売価格を設定する。「生産者、卸、小売り、消費者の誰も得をしていない」と語るのは株式会社クラダシの代表取締役 関藤竜也氏だ。

自分のための買い物が、人のためになる仕組み

 クラダシが運営する、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」は、フードロスを削減することを明確に打ち出す、新しい仕組みだ。

 生産や食品メーカーから、賞味期限までに十分な日数を確保できている商品を仕入れ、値引きされている理由を消費者に明らかにしながら販売する。同社は、販売金額の一部を15ある社会貢献活動団体に寄付しており、消費者は購入段階で、寄付する団体を選択することができる。Kuradashiで食品を購入することでフードロス削減や社会に貢献していることを実感できる仕組みが整っており、食品メーカーや生産者にとっても、商品や企業イメージを下げずに大量廃棄を避けることができる。

 工場から出荷されて店頭に並ぶまでを1次流通、セカンドハンドを2次流通とすると、Kudashiの果たしている役割は、その境目の「1.5次流通」。商品としての価値がありながら、マーケットの慣例によって見捨てられてしまう食品にスポットライトを当てながら、社会問題を解決することをビジネスモデルとしている。

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独自に立ち上げた「クラダシ基金」では、農家と大学生をつなぐ社会貢献型インターンシッププログラムも支援。次世代の育成にも積極的に取り組んでいる。

東京を「サステナブル先陣シティ」に

 サービスを開始して8年目の現在、同社の会員数は39万人にのぼる。また、協賛する1,085社の企業も、多くが本社を東京に置いていることもあり、東京はクラダシの最も活発な拠点である。ゆくゆくは東京を、世界に情報を発信する「サステナブル先陣シティにしたい」と、関藤氏はクラダシを通じた未来予想図を描く。

 東京都、品川区などの自治体や商工会議所と連携し地域に貢献するだけでなく、都内の大学生と農家を結びつける社会貢献型インターンシップを支援し、ソーシャルアントレプレナーの育成に一役買うなど、クラダシはECサイトビジネスだけにとどまらず、ソーシャルグッドであることを目指し、歩み続ける。

取材・文/岩佐史絵
写真/Saera Jin