世界を超えて人々を繋ぎ、誰もが自分らしく輝ける仕事環境を創造する

現地の方との出会いによって生まれた「支援したい」という思い

 前職の関係で東南アジアを周った際、ベトナムに初めて訪れました。以前から友人に「ベトナムはすごく活気がある」と話を聞いて興味を持っていた都市だったこともあり、事前にFacebookでベトナムに行くことを発信すると、現地の方が案内してくれることになりました。

 現地の方と直接会って話す中で、「日本語を学びたい、就労や進学で日本に行きたいが、情報が全く手に入らない」ことを知りました。さらに、現地で日本語学校を運営されている方からも「日本語は教えることができても、その後のサポートが私たちには難しい。生徒達の出口を作ってあげて欲しい」と言われました。一週間の滞在の中で同じ様なことを5人の方から言われ、「これは僕に何かアクションを起こせというメッセージなのではないか」と、本気で思いながら日本へ一時帰国。彼らの言葉に突き動かされ、日本に就労や進学で来日している海外の方の支援を始めようと動き出しました。

20221221110827-58c653bf97b00e6e0b15172a096dfef45456b6a0.jpg
Photo: iStock

現地調査を進める中で拠点が重要だと感じベトナムでの起業を決意

 SNSで来日中のベトナム人の方とやりとりをする中で、授業料を支払った後退学させられてしまったり、低賃金で働かされている方々が多くいる事を知り、サポート仲間を募りながら彼らのサポートをしていましたが、個人がいくら動いてもなかなか力にもなれない現状にモヤモヤする日々を過ごしました。当時働いていた会社に行っても支援の事が頭から離れず、思い切って会社を辞めてベトナムに行くことを決意しました。妻にも「応援するよ」と後押ししてもらい、ベトナムと日本を行き来する生活がスタートしました。

 まずは現地の現状を把握しなければと半年間かけベトナムを調査。調べていく中で、日本に行く以前に現地でブローカーに騙され就労、進学しているケースが多いことを知り、ベトナムに拠点を作り正しい情報を発信していかなければと、ベトナムでの起業に踏み切りました。

実際に現地で活動する中で新たな課題が見つかる

 創業当時は、現地在住の日本人とベトナム人の計9名ほどで事業をスタート。ベトナムは日本と異なり、何事にもスピード感が早く、会社のセットアップに時間がかからず約3ヶ月程で現地の基盤が整い、程なく日本語の教育や就労、進学支援を開始することができました。

 また、支援をしながら就労や進学を正しくマッチングするには、理解のある日本側での受入れ先を確保しなければという点が重要な課題であることが判りました。そこでベトナムの会社は一旦現地のスタッフに任せ日本へ帰国。日本での事業展開に向け動き出しました。

日本での受け入れ先の企業開拓に奔走する日々

 ベトナムでの起業から約2ヶ月後に日本支社を設立。私自身、異業種から新規参入したこともあり同業種の知り合いは皆無。受入れ先の企業開拓に向け、知り合いに受け入れ先となるきっかけがないか連絡をとったり、ホームページを頼りに企業のメール問い合わせフォームにメッセージを送るなど営業活動に奔走。賛同いただけそうな企業様には創業のきっかけを丁寧にお伝えしたり、実際に現地へ訪問してもらって状況を確認していただくなど、少しずつ協力企業の輪を広げていきました。

 営業の成果が実り、少しずつ受け入れ先が決まりベトナムからの就労の受け入れを開始。そこで今度は、受け入れの手続きが難しく本人や学校側も受け入れ側も断念するケースが発生。どうにか手続きを簡素化できないかと東京都中小企業振興公社にアドバイスを受けるため伺いました。その際、青山スタートアップアクセラレーションセンター(以下、ASAC)を紹介いただき、「事業を早く成長させなければ、現状の問題解決に時間を要してしまう」と思いASACに応募。メンターの方々に、事業拡大に向け丁寧にアドバイスいただけたことが、早い段階で事業を展開できた今に繋がっています。

20221221111657-2c61f003e086304f3094fc09c492f5634b40da84.jpg
Photo: iStock

情勢や状況に応じて対応の幅を変化させていく

 高度外国人材紹介事業「チョクトリ」が軌道に乗り始め、外国人材紹介、外国人雇用支援、日本語教育支援など様々な支援を行って行く中で、常に受け入れ先の企業にヒアリングを行いながら就労の斡旋を行ない、3年かけて今の事業形態を確立させていきました。当初は就職するまでの支援でしたが、就労してから企業側と意思疎通が上手く取れず退職してしまう方、コロナ禍での働き方の変化を目の当たりにし、就労後のケアまで一貫して行うなど情勢や状況に応じて対応できる体制を整えています。

未来に向け人材イノベーションを起こせる仕事環境を創造

 今以上に世界中の人たちと一緒に働ける機会を作って行けるよう、2019年にミャンマー、2020年にインドに支店を開設、そして今は韓国に新たな支店を作るべく動いています。継続させることがすごく大事だと思っているので、短期的な利益などに飛びつかず、実現したい世界に向けて長期的に集中して事業を展開していくことが重要だと思っています。人材イノベーションを起こせる人材を紹介しても、体制が整ってないと生かしきれないという事実も分かったので、今後はそういった点での支援も行っていきたいと考えています。サービス含め、5年後には私自身が理想とする就労環境を実現していけたらと思っています。

2202_01_04.png

起業を目指す方へのメッセージ

 事業を展開していく中で、先の事が見えず不安になることもあるかと思います。ですが、将来の夢や目標を身近な人含め周りに伝えていくと、すごく大変な時には誰かが手を差し伸べ助けてくれます。思いがブレることなく目標に向かい努力することで最終的にはきっといい結果に繋がっていくと思うので、夢を諦めず前進していってください。

株式会社ワンテラス 代表
石中 達也

2202_01_01.png
繊維商社、コンサル企業を経て「株式会社ワンテラス」を創業。外国人材紹介、外国人雇用支援、日本語教育支援を通し、企業や学校と世界中の人々を繋ぐプラットフォームを提供。日本を中心に、ベトナム、ミャンマー、インドに拠点を展開している。https://oneterrace.jp/

⻘⼭スタートアップアクセラレーションセンター

asac_img.png
5か⽉間のアクセラレーションプログラムを通して、アクセラレーターや先輩起業家、さらには⼤志を持った多くのメンター陣の⽀援を受け、リーディングカンパニーへと成⻑するための機会と場を提供しています。特に⼥性起業家や成⻑産業等、東京都の政策課題に取り組む⽅々や、ソーシャルやものづくり等、ベンチャーキャピタル(VC)が投資しにくいといわれる分野で起業に取り組む創業予定者やスタートアップ企業をメインのターゲットにしています。
⻘⼭スタートアップアクセラレーションセンターの詳細を⾒る
*本記事は、「東京都創業NET」の提供記事です。