アドベンチャーツーリズムを楽しむ、東京の離島二選

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SHOTROK(映像作家)

【寄稿】東京にある11の離島を紹介する東京宝島事業の一環で、動画「Enchanting Tokyo」シリーズを手がけている。11ある島の中で、唯一羽田空港からフライトのある八丈島と、八丈島からアクセスのよい青ヶ島へ行ってきた。

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特徴的な地形がユニークな青ヶ島を上空からドローンで撮影。Photo: SHOTROK

 トラベラーたちの目に映る今の日本は、まさに"黄金の国"だろう。ついに緩和された日本の厳しい水際対策に、歴史的な円安も相まって、多くの訪日外国人観光客にとって魅力的な国の一つとなっている。「また日本を訪れたい」と次の旅行のプランを考えるリピーターの中には、ガイドブックに載っていない耳寄り情報を求めている人も多い。私もそう考えるタイプだ。そこで、東京に30年以上住んでいる私でも知らなかった"東京"を体験してきたので、ぜひ紹介したい。

アクティブと癒しを両方満喫できる-八丈島

 羽田空港からわずか55分のフライトで到着する八丈島は、東京都心からの週末の小旅行に最適な島。独特の緑豊かな自然と碧い海が広がっていて、ヘゴシダが茂る森がまた冒険心をそそる。

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私有地のため場所は非公開、地図にも掲載されていない「ヘゴの森」。認定ガイドによるツアー(有料)を申し込むことで、訪れることができる。Photo: SHOTROK

 まず、日本の象徴である富士山を彷彿とさせる西山(八丈富士)トレッキングがお勧めだ。三原山では、豊かな湧水によって育まれたポットホール(甌穴、おうけつ)というユニークな川の地形を探索できる。トレッキングを楽しんだ後は、心地よい海風を感じながら、火山島ならではの極上の天然温泉や足湯に浸かって旅の疲れを癒そう。水着着用で入浴する裏見ヶ滝温泉は、森の中に大胆に切り開かれた公衆の温泉(無料)で、家族で楽しむ人たちも見られた。きらめきの湯という足湯に浸かりながら、運が良ければ冬の時期には島の近くを泳ぐクジラの群れを見ることができる。都会の喧騒を抜け出し、このように心和むひとときを過ごせる体験こそが旅の醍醐味だろう。

ポットホール(甌穴)は、岩盤を流れる水路に水流による浸食でできる穴。八丈町の天然記念物。

日本の原風景を体感できる-青ヶ島

 信じられるだろうか。2014年にアメリカの環境保護のNGO団体One Green Planetが発表した「世界で死ぬまでに見るべき絶景13選」で、日本で唯一選出された場所がある。それが東京都の青ヶ島だ。八丈島からヘリコプターで約20分のところにある。

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青ヶ島が誇る、世界的にも珍しい二重カルデラ。八丈島から飛んでいる9人乗りのヘリコプターは、1日1便。Photo: SHOTROK

 青ヶ島が誇る、世界的にも珍しい二重カルデラの全景は、ドローンでも飛ばさない限り普通に見ることはできない。だがそこで落胆しないでほしい、なぜならまるで自分は小惑星に来たのかと錯覚するような美しい景観を大凸部(青ヶ島最高峰の展望スポット)や尾山展望台からも見ることができるからだ。

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外輪山の断崖絶壁で囲まれたカルデラ内部には、椿の植林が模様を成す内輪山の丸山が中央にそびえる。まさに要塞のような青ヶ島をドローンで撮影。Photo: SHOTROK

 しかし、カルデラ内部の池之沢地区に足を踏み入れると、心躍るような日本の原風景が広がっている。そして島の至るところで地面から噴き上がる湯気を見て、ここが火山島であることを改めて実感するだろう。動画撮影のために行った島民の方への取材のなかで、「この島での暮らしは、まさに自然との共生であり、自然の猛威に耐える中で助け合いの精神や都心の生活ではなかなか得られない人と人との繋がりが生まれていった」という話を聞いた。

 青ヶ島は、八丈島から船でのアクセスも可能だが、私は一日一便のヘリを利用した。しかし、悪天候で飛ばないこともあるので、思いきって長期のワーケーション滞在を計画するのもお勧めだ。基本は民泊。島には商店が一つあるだけなので、宿で一日3食いただくことになるのだが、そこで生まれる島民の方々との交流をぜひ楽しんでほしい。話がおもしろい方が多く、私は島に1週間滞在した中で、この地元の方々との交流が一番の思い出となった。

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私が撮影した動画シリーズ「Enchanting Tokyo」の八丈島編より。訪日外国人観光客が島を冒険するストーリー展開を中心に、最新のドローン技術(FPVドローン)を用いて自然をダイナミックに描写するなど撮影手法も工夫した。Photo: SHOTROK

 アドベンチャーツーリズムを満喫できる自然豊かな離島が東京にはある。世界的に見ても、これほど自然豊かな都市は他にないだろう。東京宝島を訪れた人は、必ず友達にこの旅行体験を話したくなるはずだ。

SHOTROK

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1991年生まれ、東京都出身の映像作家。国内外を旅しながら、映像を通して各地の魅力を発信する。沖縄県八重山諸島の観光PR映像が、第四回日本国際観光映像祭にて国際部門セカンドプライズを受賞。東京宝島事業では、伊豆大島、八丈島、青ヶ島のPR映像を監督した。八丈島の白身魚の島寿司がお気に入り。