個人をエンパワーメントして世界を変える

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アイデアは突然降りてきた

 新しいアイデアやテクノロジーがきっかけとなり、本来の価値に新たな価値が付くことがあります。個人と個人を結ぶC to C型マーケットプレイスの先駆者として知られる株式会社エニグモは、まさにそれを体現しているベンチャー企業です。 同社が運営するソーシャルショッピングサイト『BUYMA(バイマ)』は、世界約170カ国に存在する約20万人の個人がパーソナルショッパー(出品者)となってファッション関連を中心とする世界中のアイテムを紹介し、日本国内の1000万人を超える会員向けに出品・販売できるプラットフォームとして成長を続けています。

 須田将啓社長は創業のきっかけについて次のように話します。「新卒で入社した博報堂勤務時代に、後に弊社の共同創業者となる同僚が、アメリカでは300ドルで売られているサーフボードが日本では10万円で販売されていることに着目したんです。つまり、アメリカに友だちがいればそれを買ってもらうことができますが、そんな日本人はごくわずかですよね。そこで、海外在住の日本人をネットワークしてバイヤーになってもらい、日本にいながらにして海外から様々な商品を購入できるサービスがあったら便利なはずと考えたことが起業の発端となりました」

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社会的意義と経済的意義を同時に達成する

 企業活動を通して社会課題の解決に寄与し、なおかつ経済的価値を創出できるのであれば、それ以上に素晴らしいことはありません。『BUYMA』の着想を得たとき、「考えれば考えるほど面白いアイデアだと感じたと同時に、実現させる社会的意義や経済的意義を強く感じました」と、須田社長は力説します。

 「『BUYMA』の良い点は、それまで日の目を見ていなかった商品が世界の誰かに発見されることで、そこに新たな価値が付くこと。今でこそ『BUYMA』はファッション中心のサービスになっていますが、創業当時、私がイメージしていたのは、どこかの山奥で暮らすお爺ちゃんが作る陶器が魅力も価値もあるものなのに、流通網にのらないせいで誰の目にも留まらない。けれど、数多くいるバイヤーの1人がそれを見つけてネット上にアップした瞬間、世界中の人の目に留まって価値が認められるようになるというものでした。僻地や田舎に住んでいたとしても、センスや技術さえ磨けば経済的な利益を享受することができるという、そんな可能性を秘めたサービスになると考えたんです」

 また、『BUYMA』というプラットフォームが確立されたことで、買い手を待っているファッションアイテムが国境を越えて流通することが可能になり、それが結果的には在庫を減らすことにつながり、在庫廃棄の問題を解決する一助にもなっています。

世界中どこにいてもできるビジネス

 『BUYMA』のパーソナルショッパーになれば、どんな場所に住んでいても、大企業に所属していなくても、センスと熱意さえあれば仕事をすることができます。SDGsの「17の目標」の中に「8. 働きがいも経済成長も」という目標が掲げられていますが、『BUYMA』はまさに世界中で雇用を生み出し、人々に働きがいを提供しているといえます。

 さらには、売り手と買い手の自由で公平な交流をも実現しており、それは「10.人や国の不平等をなくそう」「16.平和と公正をすべての人に」といった目標にも合致しています。聞けば、同社の創業は2004年とのこと。SDGsが国連で採択されたのが2015年であることを考えると、時代がようやくエニグモのコンセプトに追いついてきたと言っても過言ではありません。そんな『BUYMA』の本質について、須田社長は「個人をエンパワーメント(一人ひとりが本来持っている力を発揮し、自らの意思決定で自発的に行動できるようにすること)することにあります」と、説明します。

 「当社のビジネスモデルは、世界中にいるパーソナルショッパーが活躍することで利益が生まれるモデルですから、その意味では、ビジネスモデルにもともとSDGsの要素が多分に含まれていると自負しています。端的に言えば、『BUYMA』の規模が拡大しサービスが充実すればするほど、世界で誰かが幸せになるというモデルです。ユーザー(購入者)は、日本にいながらにして、世界中からあらゆる物を購入できる手段を得て、実際に海外の優れた商品を入手することで満足感を得たり、日常生活を豊かにできたりします。また、日本の工芸品などを世界に紹介するサービスの構築にも取り組み始めていて、これが動き出すと地域貢献にもつながると思っています」

「働きやすい」会社だから成長する

 エニグモがエンパワーメントしようとしている『個人』には、「弊社で働く『社員』も含まれます」と、須田社長は話します。同社社員の女性比率は44%、女性管理職比率(役員を除く)は38%と高く、育児休暇は女性のみならず男性も取得しています。また、フルリモートによる就業も推進しており、これらをSDGsの『17の目標』に照らし合わせるなら、『5.ジェンダー平等を実現しよう』『8.働きがいも経済成長も』などに資するコンセプトということになります。

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 「『職場』は人生の中で多くの時間を過ごす場所ですから、社員にはできるだけストレスを感じることなく、能力を最大限に発揮できる環境で仕事をし、成長してほしいと思っています。そう思うようになった契機は、学生時代に"実力がある人に日の目が当たらない"という不公平な構造が世の中に多く存在していることに違和感を抱いたことにあります。そこでエニグモでは、違和感を覚える制度やストレスを感じる制度があれば、社員が指摘できる制度を整えています。

 そうやって『働きやすさ』に留意してきたからこそ、若く優秀な人材が集まってここまで成長することができたと思っています。『東京サステナブルNavi』は正しいことや真っ当なことに取り組んでいる会社にスポットライトを当てるという意味で、とても価値あるサイトだと感じています。当社の取り組みをご紹介いただくことは、社員にとっては自分たちの仕事ぶりが認められたとことになりますから、それがさらなるモチベーションの向上につながりますよね」と須田社長。

 最後に、これからSDGsに取り組もうとしている企業への応援メッセージとして、須田社長は次のようなコメントをくださいました。

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株式会社エニグモ 代表取締役 須田将啓様

 「『SDGsに取り組まなきゃ』と大上段に構える必要はないと思います。すでに手掛けている事業を見渡してみて、自分たちが取り組んでいることが実はSDGsに結びついているという気づきさえ生まれれば、それをさらなるやりがいとして、これまで以上に精力的に仕事に取り組むことができ、新たな展開に結び付けることができるのではないでしょうか」

会社概要

社名:株式会社エニグモ
所在地:東京都港区赤坂8-1-22NMF青山一丁目ビル 6階
設立: 2004

事業内容:インターネットビジネスの企画・開発・運営
代表取締役:須田将啓
従業員数:134名(2023年1月31日時点)
ホームページ: https://www.enigmo.co.jp
*本記事は、「東京サステナブルNav」(2023年3月6日公開)の提供記事です。