東京・新宿に、LGBTQ当事者のための居場所を。「プライドハウス」がオープンしました

出典元: ハフポスト日本版 2020年10月16日記事
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 「当事者の人にとって心の拠り所になるような施設にしたい」。運営メンバーは、プライドハウスの開設に込めた思いを語ります。
Jun Tsuboike / HuffPost Japan

 常設のLGBTQセンター「プライドハウス東京レガシー」が、東京・新宿にオープンしました。相談スペースを設けるなど、当事者の人が安心・安全に過ごせる「居場所」を作ることを目的としており、LGBTQに関する情報発信も行います。

 どんな施設なのでしょうか?

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Jun Tsuboike / HuffPost Japan

「プライドハウス」とは?

 「プライドハウス」は、これまでカナダやブラジルなど、オリンピック開催国で開設されてきました。

 スポーツの世界は、性的マイノリティへの差別や偏見が根強く、当事者が安心して過ごせる環境が整っていないのが現状です。プライドハウスは、そうした状況を受けて、当事者が安心して集えたり、LGBTQに関する情報発信をしたりできる拠点を作るために設置されました。

 日本でも、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まったことで、プライドハウスを東京に常設する計画が立ち上がりました。

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10月11日のオープン日には、メディアや関係者向けのイベントが開かれました。

 これまでは期間限定で設置されてきましたが、今回は初めて、常設の施設となります。

 また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の「公認プログラム」として認定を受けており、これも世界のプライドハウスでは初めてとなります。

 開設には、LGBTQ支援団体やLGBTQフレンドリーの企業や、スポーツ団体、世界各国の大使館など、多くのセクターが関わりました

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ゲイタウン・新宿二丁目から少し離れたところにある「プライドハウス東京レガシー」

「ふらっと」立ち寄れる居場所を作りたい

 「プライドハウス東京レガシー」は、「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げる東京オリンピック・パラリンピックを契機に開設されましたが、運営メンバーは「当事者が安心して集える居場所を作りたい」と強調します。

 運営責任者の松中権さんは、「LGBTQ当事者の方、ユースの方が困った時に居場所があるということが大事」だと話しました。

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松中権さん

 キッズスペースや相談窓口も設置へ

 そうした居場所を作るために、どんな工夫や取り組みをしているのでしょうか。

 施設は、アジア最大といわれるゲイタウン・新宿二丁目から少し離れたビルの2階に設置されています。

 開館日は、毎週月・火・金・土・日曜日。13時から19時まで開館しています。水・木は休館日です。無料で、誰でも利用することができます。

 施設には、約600冊ものLGBTQ関連の書籍を閲覧できるスペースのほか、相談をできる個別スペースも設けられています。

  誰でも、ふらっと気兼ねなく訪れることができるように、施設内には仕事などの作業ができるカウンターがあります。今後はコーヒーなどを楽しめるカフェ・キッチンスペースや、キッズスペースも設ける予定といいます。

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前田邦博さん

 「居場所づくりチーム」として運営に関わる前田邦博さんは、「スタッフ側から無理にコミュニケーションをとることはしません。ただ『いていいよ』という居場所にしたい」と話します。

 プライドハウスには相談スペースがありますが、現地に行かなくても相談ができるよう、メールや電話などの窓口の開設も予定しているといいます。

 「スタッフにも当事者がいるので、仲間がいると思えるだけでも大きいと思うし、救いになるのではないかと思います。プライドハウスのような繋がれる場所があるんだと、当事者の人にとって心の拠り所になるような施設にしたい」(前田さん)

「プライドハウス」を支える7つのチーム

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プライドハウス東京レガシーのチームメンバーら

 プライドハウス東京レガシーでは、7つのチームに分かれて、環境整備や発信を行います。

文化・歴史・アーカイブチーム:LGBTに関する歴史・文化を紹介するコンテンツやアーカイブを作り、発信する。オープン時には約600冊の性的マイノリティーに関する書籍や資料が揃っており、立ち寄った人は自由に閲覧ができる。

教育・多様性発信チーム:多様な性のあり方や家族のあり方の理解を広げるため、絵本の読み聞かせや、映画上映など、子どもたちも参加できるような様々な教育イベントを開催する。

ウェルネス・サポートチーム:全国にLGBTの支援者を増やしていくため、10月からLGBTQのサポートをしたいという人のための研修プログラムをスタートさせる。また、困りごとがあったり、誰にも相談ができないという当事者のための相談窓口を開設する予定という。

居場所づくりチーム:特にLGBTの若者たちが安心、安全に集うことができる居場所をつくるための体制を作る。プライドハウスの環境整備のほか、大学などでの情報発信も。

祝祭・スポーツイベント・ボランティアチーム:レインボーマラソンなど、その人の性的指向や性自認にかかわらず、誰でも気兼ねなく参加できるイベントを開催する。

アスリート発信チーム:スポーツ業界でLGBTへの理解を深め、前向きな発信やアライを増やすための活動を行う。

仕組みづくりチーム:プライドハウス東京レガシーを持続可能な組織とするため、運営資金の調達や自治体や企業との協働など、仕組みづくりを行っていく。

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Jun Tsuboike / HuffPost Japan

 LGBTQの理解促進と、当事者の人が安心して集える場所を作るために、たくさんの人が関わって実現した「プライドハウス」。

 ぜひ、足を運んでみてください。

▼「プライドハウス東京レガシー」所在地

東京都新宿区新宿1-2-9 JF新宿御苑ビル2階

▼開館日

毎週月・火・金・土・日 13時〜19時

(2021年7月時点)

生田綾/ハフポスト日本版ニュースエディター 坪池順 /ハフポスト日本版ニュースビジュアルズエディター