東京2020パラリンピック競技大会の意義と東京都の取組|TMC トーク Vol.8

 本記事は2021年8月25日に 東京メディアセンター(TMC) が実施したTMCトークでの東京都知事、小池百合子氏の講演を書き起こしたものです。
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「東京2020パラリンピック競技大会の意義と東京都の取組」|TMC トーク Vol.XX

 皆様、こんにちは、東京都知事の小池百合子です。2021年8月24日、東京2020パラリンピック競技大会の開会式が行われました。いよいよパラリンピックが開幕です。この日を迎えられましたことは、多くの皆様のご支援があったからに他なりません。心から、感謝申し上げます。さて、今日は、東京2020パラリンピックが持つ意義と、大会後のレガシーを見据えました東京都の取組について、お話ししてまいります。

 今から57年前の1964年、東京でパラリンピックが開催されました。まだ日本に障がい者がスポーツをする文化が根付いていない、そんな時代に開催された東京大会です。障がいのある方々をスポーツへと誘う第一歩となりました。そして2021年、世界で初めて、2回目の夏季パラリンピックが、ここ東京で開催されています。この大会では、史上最多の22競技539種目が行われます。無限の可能性を秘めたパラリンピアンが放つ大いなる輝きは、コロナ禍という困難に立ち向かう我々に、計り知れない勇気を与えてくれることでありましょう。大会のビジョンは「多様性と調和」です。私たちは、このビジョンのもと、パラスポーツの魅力を多くの人に伝え、あらゆる面でのバリアを取り除き、多様性と包摂性にあふれる街を築き上げていきたいと考えています。このことは、東京都が目指す持続可能な都市の発展、「サステナブル・リカバリー」の大きな推進力となります。

 さて、東京都では、パラリンピック競技の体験プログラム「NO LIMITS CHALLENGE」、こちらを都内各地で展開してまいりました。私は東京2020パラリンピックで実施される全ての22競技を体験しまして、その面白さ、奥の深さを実感してまいりました。パラスポーツを応援する人を増やすプロジェクト「TEAM BEYOND」には、個人や企業など、なんと135万人を超すメンバーに登録をいただいています。大会後は、こうした取組をさらに発展させてまいります。パラスポーツが誰もが楽しめるポピュラーなコンテンツとなり、街の至るところで人々が楽しむ都市を目指してまいります。

 この大会におきましては、多くのシティキャストの皆様に活動いただいています。空港での選手のお出迎え、お見送りをはじめ、東京都メディアセンターでの案内、オンラインを通じて大会の応援や東京の魅力発信など、多くの方が活躍されているのです。人と人とのつながりこそが、都市の活力を一層高める、そう確信しています。大会に向け培われました、ボランティア精神・助け合いの心を文化として定着させ、人がつながり支え合う、そんな社会を創り上げてまいります。

 人がつながる上での障壁・バリア、これを徹底的に取り除いていくことは、パラリンピック開催都市の使命であります。東京全体でユニバーサルデザインの街づくりにも取り組んでいます。大会に向けて都立の競技会場を、アクセシビリティに配慮して整備してまいりました。歩道の段差の解消や、鉄道駅のホームドア、そしてエレベーターの設置、宿泊施設のバリアフリー化も促進しています。多言語対応や「心のバリアフリー」の推進などの取組も進めて、ハードとソフトの両面から東京のバリアフリーは格段に前進いたしました。バリアフリーは、先端技術やデジタルの力で、もっともっと進めることができます。自律走行モビリティの活用や、誰もが利用できる効率的な移動体系、MaaSの実現など、移動支援策の導入も進め、質の高いバリアフリー環境の整備につなげてまいります。

 東京2020オリンピック競技大会の間、VRなどの先端技術を活用して、障がいや病気により移動が困難な子供たちに、大会をリアルに楽しめる機会を提供しました。こちらは、都立の特別支援学校に設置した特設のシアターなんです。最新テクノロジーで「まるで競技会場で参加しているような」、特別な映像体験をしたときの様子です。こうしたテクノロジーが、病気や障がいのある方々が抱える様々な課題を解決し、インクルーシブな社会を実現していく、そのことを強く期待しております。

 パラリンピックの価値は、「ダイバーシティ」への変革をもたらすところにあります。パラリンピックの成功は、多様性を社会に根付かせます。「パラリンピックの成功なくして、大会の成功はない」。かねて申し上げている、私の一貫した思いであります。安全・安心な大会運営を最優先として、オリンピックに続いて、パラリンピックを必ずや成功へと導いて、世界に誇る史上最高の大会とする。そして、大会を跳躍台に「成長」と「成熟」が両立した、持続可能な都市へと、東京がさらなる進化を遂げる。そうすることで、大会のビジョンである「多様性と調和」を具現化して、共生社会の実現へとつなげてまいります。  

 さあ、皆様、パラリンピックを堪能してください。パラアスリートが力と技の限りを尽くす熱戦に心躍らせていただきましょう。そしてこの大会が、多くの方々の記憶にいつまでも残り続けることを願っています。

小池百合子

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兵庫県生まれ。カイロ大学卒業。経済キャスター等を経て1992年に参議院議員当選。1993年から衆議院議員を8期務める。この間、環境大臣、防衛大臣などの要職を歴任。環境大臣のときには、「クールビズ」の旗振り役を務める。2016年、女性初の東京都知事に就任し、2020年に2期目を迎えた。待機児童対策や女性の活躍推進など、積極的に取り組んでいる。「大義と共感の政治」が信条。
記事中の文言は、実際の発言内容と必ずしも一致するものではございません。