"Made in Tokyo"の日本酒グラスを世界へ。

出典元:「江戸東京きらりプロジェクト」
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 ワインを楽しむときは、種類や合わせる料理によってさまざまなグラスを使い分けるのに、なぜ日本酒はお猪口ばかりなのか。魅力的な日本酒専用のグラスがあれば、女性や海外などの新たなマーケットにアピールできるのでは? こうしたひらめきから生まれたのが、木本硝子の日本酒グラスだ。

 創業90年を迎える木本硝子は、ガラス食器専門の問屋として、東京下町のガラス工場で手づくりされる製品にこだわり、数々の作品をプロデュースしてきた。会社名の欧文表記を「KIMOTO GLASS TOKYO」としているのは、東京は江戸時代からのガラス産地であり、近代ガラス工業の発祥地でもある。その東京で創業し、東京の職人とともに、ものづくりを行っている、その心意気を現わしている。

 匠の技に敬意を払いつつ、時代を見据えた新しい提案を行ってきた同社が、日本酒用のグラスに取り組み始めたのは6年ほど前。「料理とお酒を合わせるペアリングに、グラスを合わせる楽しさを加える。そんな"トリプリング"というスタイルを提案したいと思ったのです」と、木本誠一社長は語る。

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 国内外のデザイナーたちとコラボレーションし、これまでに生み出したグラスは130種類にも及ぶ。近年、数ある中からユーザーが選びやすいように「華・爽・雅・醇・和」の5つのキーワードを立ててセレクトした「Sake Glass Selection」が好評だ。たとえば「華」のグラスはエレガントに大吟醸を楽しむときに。「爽」ではスターターとして発泡酒で乾杯するときにおすすめ、といった感じだ。

 形状に目をやると、「爽」では、グラスを細長い形にすることで酒がすっと口の中を流れ、より爽快感を感じられるように工夫されている。このように、キーワードごとに、5種類の酒に合った形状が緻密に設計されている。

 「グラスがお酒のポテンシャルを引き出すことで、味も香りもガラリと変わります。それを実際に体感してもらうために、数多くのイベントを開催してきました」。フレンチと日本酒と「Sake Glass」の組み合わせなど、トリプリングのマジックを実体験してもらう機会を設けるごとに、認知度が徐々に上がり、いまではハイエンドな和食店やバーなど、Sake Glassのこだわりがわかるユーザーに着々と広がりをみせている。

 「今後の展望は、酒蔵、食材の産地、飲食店など、業界を越えたワンチームで、東京の日本酒文化を、バックボーンのある確かなブランドとして、国内外に誇りをもって発信していくことです」。

■木本硝子 公式オンラインショップ https://kimotogw.shop-pro.jp

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※本記事は「江戸東京きらりプロジェクト」(2021年1月29日)の提供記事です。