"その発色は誰にも似合う不思議な色味"。紅が持つ唯一無二の魅力

出典元:「江戸東京きらりプロジェクト」
 さまざまな意味合いを持ち、人々の人生の節目に彩りを添えてきた"紅"。自分を美しく魅力的に魅せる手段として、とりわけ江戸時代の女性たちに多く使用されていた。紅と聞くと"昔のもの"と思われがちだが、実は現代人にこそ魅力的に感じる要素がたくさん詰まっている。

紅文化を語る上でなくてはならない職人や農家の存在

 紅の原料である紅花の花びらに含まれる赤色色素は、わずか1パーセントとされており、長年に渡る職人技や秘伝の製法なくしては玉虫色に輝く紅を作ることがままならないと言われる。それだけでなく、紅花の栽培はほとんどの工程が機械化できず、また半加工品である紅餅づくりは非常に手間がかかるため、そこに携わる職人の技術と栽培農家の存在は必要不可欠である。多くの人々のたゆまぬ努力があるからこそ、今でも紅文化が継承されているのだ。

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紅花から発酵などの工程を経て紅餅(上)を作り、職人秘伝の製法で紅が抽出され、お猪口に刷かれる。魅惑的に輝く玉虫色は、良質な紅の証(下左)。先代六代目の紅猪口(下右)は、作られてから数十年の時を経て玉虫色から赤色に変化している。

日本人にとどまらず、誰にでも似合うように発色するのが唯一無二の所以

 当時、紅は口紅としてだけでなく、アイシャドウやチーク、また時には耳たぶにつけて色っぽさを演出する化粧に使われるなど、さまざまな場面で使用されていた。江戸の"美"を象徴するものと言われていたように、紅の背景には女性たちの美への探究心が見て取れる。では現代における紅の魅力とは何か。それは全てが"天然成分"のみで作られている、究極のナチュラルコスメということ。紅花の色素のみで発色する赤は、自然が生み出す唯一無二の色合い。使用する相手に合わせ、似合う色味に変化することも不思議な特徴だ。「紅を象徴する発色のバリエーションは、プレゼントとして喜ばれやすいのも魅力です。祝い事として還暦のお母様へのプレゼントや、結婚式に向けて男性から女性へプレゼントされるなど、紅には素敵なエピソードがとても多いのです」。口紅としてだけでなく、上質な素材の証として輝く玉虫色は、眺めているだけで心を満たしてくれる。まとう人全てが自分らしく、特別に彩られる紅は、現代を生きる私たちにも自信を与えてくれる唯一無二のアイテムなのだ。その一つとして今回、「小町紅 雪月花」を紹介する。江戸時代に携帯用として持ち運ばれていた「紅板」が現代風にアレンジされたもので、半月型のコンパクトには四季折々の美しい景色が雪輪、月、菊で表現されている。日常の中に特別感を与えてくれる、魅力的な紅をぜひ手に取ってみて欲しい。

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伊勢半本店 オンラインショップ 「小町紅 雪月花 」2,2000円(税込24,200円)

※本記事は「江戸東京きらりプロジェクト」(2021年4月16日)の提供記事です。