気候変動・感染症対策に女性の声を。今こそ学ぶ「ジェンダー平等」

毎年3月8日に行われている「国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA」
男女格差のない誰もが暮らしやすい未来をつくる
「国際女性デー」は、20世紀初頭に北米やヨーロッパ全域で起こった労働運動をきっかけに制定された記念日だ。こうした女性を尊
東京を拠点に全国で展開するイベント「国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA」は2017年から始まり、今年で6回目の開催となる。実行委員会の小川孔一氏は、「自分たちの子どもや孫が安心して生きられる社会をつくりたい」という想いで創設にあたったと話す。
「今、この世に生を受けている我々人間は、すべて女性から生まれています。そんな尊い存在である女性たちが明るくイキイキと暮らしていけなければ、国の発展は見込めません。また、女性の育児と継続就業の問題が解決しなければ、少子化が着々と進み、日本の人口はますます減少し、経済の発展どころか国が衰退してしまう可能性もあります」
現代日本を取り巻く社会問題の根本と向き合い、女性の生き方を見直すことが活動の目的だ。

そんな「国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA」のテーマは「女性のエンパワーメントとジェンダー平等の社会実現を」。3月8日のイベント当日は、SDGsに貢献している女性や企業の表彰式、専門家などによるセミナーをリアルとオンライン配信のハイブリッド型で開催。
今年は東京を含めた14都府県で開催する。京都会場では、2021年にスタートした京都女子大学との産学連携プロジェクトの研究結果を報告するプログラムも用意。表彰式やセミナー以外にも、さまざまな企業とパートナーシップを組み、社会的インパクトのあるキャンペーンなども展開。着実に、ジェンダー平等の輪を広げている。

地球規模の危機により可視化されるジェンダー不平等
国際女性デーを定めた国連が2022年に掲げたテーマは「持続可能な明日に向けて、ジェンダー平等をいま」。近年、気候変動に関する政策に女性の声をより反映すべきだという意見が広まっている。
気候変動がもたらす女性へのダメージは世界的な問題だ。開発途上国では食料や水、燃料の確保は女性の役割であることが多く、干ばつが起きれば、水を確保するために女性たちはこれまで以上に長い距離を歩かざるを得なくなる。
さらに、食料危機の深刻化により経済的困窮に陥っている農村では、男の子を優先的に学校に通わせ、女の子は後回しにされることも多い。彼女たちは気候変動の影響を最も受けやすく、本来享受すべき権利や機会を奪われているのだ。
小川氏は「日本ではあまり現実味がないかもしれませんが、現在のコロナ禍と通ずる部分もあります」と分析する。
日本では、家事や育児、介護の担い手は女性であるという意識が強い。2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛の影響で、女性の負担は大幅に増加。さらに飲食店などのサービス業や宿泊業を中心に雇用情勢が急速に悪化し、女性の割合が大部分を占める非正規雇用労働者は経済的困窮に陥った。
これまで見過ごされてきた諸問題や、表面化してこなかった潜在的課題がコロナにより可視化されたというわけだ。
「これは、社会の構造がいまだに男性優位であることを示しています。残念ながら、時代や国に関係なく、男性よりも女性側にしわ寄せが行きやすいのです」と小川氏は言う。「だからこそ、企業が多く、労働者が集中している大都市・東京から、ジェンダーバランスを整える必要があります」。
気候変動や感染症の危機を乗り越え、持続可能な社会を実現するために、女性の地位向上を進める意義は大きい。ジェンダー平等において世界から大きく後れをとっている日本。ジェンダー・ギャップ解消への道は、まだ始まったばかりだ。