VRアーティスト・せきぐちあいみから見た、東京の街とは
斬新なVRアートに世界中から反響が届いた
中学生の頃、演劇に夢中になったことがきっかけで、そのまま自然な流れで創作や表現の道に進みました。女優、アイドル、YouTuberを経て、2016年にVRアーティストとして活動を始めたんです。
初めてVRアートに触れたのは、雑誌の取材でリポーターとして、VRで絵が描けるソフトを体験したときのことです。VRゴーグルを装着して、3Dペンを筆のように動かし、VR空間に絵を描いてみたんです。それがまるで魔法のようで、VRアートに夢中になりました。当時は、今ほどVRが注目されていなかったので、独学でVRアートを制作しました。VRで制作した画像や動画をSNSにアップしてみると、たくさんの方から反響をいただけてうれしかったです。
VRアーティストとして活動しはじめて数ヶ月経った頃から、ライブペインティングのパフォーマンスの出演依頼が来るようになり、アメリカ、ヨーロッパ、中東、アジアなどグローバルで公演する機会も増えていきましたね。
VRアートは新しいテクノロジーを使っているので、なかには「理解できるか不安」と構えてしまう人もいます。でも、ライブペインティングではVRゴーグルを通して、空間に立体的なアートが生まれていく瞬間を楽しんでもらえるので、直感的に驚きや感動を味わえると思います。「VRというテクノロジーで人生が豊かになる感覚を持ってもらえたら」という気持ちで創作活動をしています。
伝統と革新が融合している東京に惹かれる
私の作品の多くは、日本文化をモチーフにしています。純粋に好きだから描いているだけなのですが、浮世絵、神社、日本庭園などの伝統文化は作品制作のインスピレーションの源泉です。デジタルならではの表現ができるVRで、日本の伝統文化に宿る、時代を超越した温かみや情緒を表現したいと思って作品を制作しています。
新しいものと古いものとの融合は、人間の好奇心を刺激すると思っています。東京は歴史と革新が同居しているような、世界でも稀にみる魅力的な都市です。特に私が素敵だと思うのは、小さな神社や古くから続くお店が洗練されたデザインのビルの合間にある、といったような革新と伝統が調和しているところですね。時代が変わっても守るべきものをしっかり理解し、守ってきた都市なんだなと感じます。
だから東京の街を歩きながら、偶然見つけた神社や庭園にはつい足を運んでしまいます。建物の造形美やデザインから刺激を受けるだけではなく、その空間に息づく自然や人への感謝、思いやりの大切さを感じ取れる気がするんです。
東京は挑戦を続ける人たちが集う街
東京は街そのもののだけではなく、多様な価値観を持つ人が集まっているところも魅力ですね。新しい挑戦をしている仲間たちに出会えた場所でもあります。私がVRアートを始めた頃も、正解がない先端的なことにトライしている仲間がいたから、挑戦を続けられたのかなと思います。
挑戦し続けている人が集まっている街だからこそ、街として革新を続け、世界中の人にとって魅力的な街として認められているのではないでしょうか。