ドローン映像で描く、東京宝島のダイナミズム
個性豊かな11の島、大島には砂漠もある!
東京都には、本州に位置する東京23区とその西側に広がる多摩地域のほか、太平洋の広大な海域に点在する11の島からなる島しょ部がある。島しょ部の島は、伊豆諸島の9つの島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島)と、都心から約1,000キロメートル離れた小笠原諸島の2つの島(父島、母島)だ。それぞれ特徴ある自然や歴史文化といった宝物をもつことから、これらの島々を総称して「東京宝島」と呼んでいる。
その中で一番面積の広い島が、本州から最も近い場所に位置する大島だ。大島は海底からそびえる一つの活火山の陸上部分である。2007年に、世界的に見ても特異な日本特有の地質を観測できる「日本の地質百選」に選定された。
標高758メートルの三原山は、活火山である大島の山頂のカルデラ内にできた中央火口丘にあたり、その東側には日本唯一の砂漠である「裏砂漠」がある。島の南西部には高さ24メートル、長さ630メートルもの岩壁が波打つ地層切断面が広がる。まさに、むき出しの地球といった野性味あふれるこの島に赴き、現地の空気感を映像化したのがビデオグラファーの白木翔大氏だ。
火山島ならではのダイナミックな景観
ロケハンのために初めて大島を訪れた白木氏はまず、活力あふれる火山の姿に感銘を受けたという。「古くから火山の噴火が繰り返され、そのたびに少しずつ姿を変えてきたという島の歴史を知り、とても神秘的な場所だと感じました。島内を巡りながら、目の前に現れるダイナミックな自然に驚きを覚え、これはドローンで撮るのが一番この島をそのまま表せるのではないかと思いました」
後日、撮影のため島を再訪した白木氏は、撮影クルーとともに4日間島に滞在。ドローンを使った空撮を中心に、さまざまな手法をこらして島独自の表情を捉えていった。ロケハンで島の様子を観察していたが、撮影時に改めて気が付いたこともあったそうだ。
「島の至る所で、噴火の痕跡を見つけました。黒い砂やマグマが固まったものであろう火山噴出物など。それらを見ると、やはりここは火山島なのだと実感して、大島の個性に圧倒されました」
旅の体験を映像に重ねる
そんな大島の力強さを映像で伝えるためには「緩急が必要だった」と白木氏。はるか上空から三原山の火口を見下ろすシーンで始まる3分ほどの映像は、大胆なアングルと繊細な構図を織り交ぜ、島の表情を余すことなく伝えている。
「ダイナミックな部分と静かな部分とで、メリハリをつけることを意識しました。景観ばかりではなく、雄大な自然の中でどう過ごせるかも伝えたかったので、岸壁をえぐるようなアングルでドローンを飛ばしたシーンもあれば、焚き火をするモデルを定点で撮影したシーンもあります。実際に島を訪れたことがない人も、現地で体験できる興奮や喜びを、この映像から感じてもらえたらうれしいです」
実際に大島では、サイクリングやキャンプなど、豊かな自然の中で楽しむアクティビティも人気だ。また、「ツバキの島」としても名高く、広大な敷地に100種類以上のツバキが栽培されている自然公園「椿花ガーデン」もあり、夏に咲くものや早咲きなど手入れの行き届いた多彩なツバキを愛でることができる。
東京宝島には、あふれんばかりの自然の恵みと、ゆったりと流れる時間がある。東京の奥深い魅力を、まずは映像で感じてみてほしい。
画像提供/東京動画