Tokyo Embassy Talk:
インドネシア大使館員が愛してやまない、グルメ天国TOKYO
フードカルチャーを通じて東京を知る
2020年8月、東京に赴任するまではバンコクやニューヨークでも仕事をしてきた、普段は"メイ"の愛称で親しまれているファウジ公使参事官(以下、メイさん)。「東京には、2007年と2017年に観光で、2018年には出張でも来たことがありました。時間があれば、原宿や表参道や下北沢を散策するのが大好きです」という彼女は、カフェやレストラン巡りを趣味としている。
「日本のグルメには飽きることがない」
そんなメイさんのお気に入りが、銀座の鳥ぎん 本店の焼き鳥と釜飯、四谷にあるビーフクラフトマンの焼肉、全国展開をしている回転すし店すしざんまいの寿司(かっぱ巻きが最高)、しゃぶ禅のしゃぶしゃぶ。「口の中でとろけるような和牛が大好物です。東京は高級レストランでなくても、手頃な価格で食べられるのが嬉しいですね。新鮮な食材が本当に素晴らしい。グルメに飽きることはありません」
世界の料理が集まる東京の魅力
グルメなメイさんは、インド料理やイタリア料理などさまざまな国の料理も好きで、2013〜2017年までタイに駐在していたこともあり、蒸し魚や生春巻き、それにもち米とマンゴーのデザートなど、特に好物のタイ料理をすらすらと挙げてくれた。
母国インドネシア料理の専門店は現在日本に約60店あるという。東京にはそのうち10店ほどがあるが、メイさんのお気に入りは渋谷パルコ近くのチンタジャワカフェ渋谷店だそうだ。
「お米なくして栄光はなし」
そんなメイさんは、意外にも料理が得意ではないそうだが、自宅ではお米党。インドネシアには「お米なくして、栄光なし」という表現があるほど米飯は欠かせないものなので、蒸したり、炒めたり(ナシゴレン)して東京でも毎食のように食べている。ちなみに細長いインディカ米も、日本の米もどちらも好みだそうだ。
「お米であれ、麺であれ、スパイスであれ、インドネシア料理の材料は、大久保や新大久保に行けば全部手に入る」と、メイさん。東京最大のコリアンタウンとして知られる地域には、アジア各国の輸入食材を扱う店も多い。
また都内のスーパーマーケットでは、新鮮な食肉が簡単に手に入ることにも感銘を受けたという。
誠実な日本人に感動して
これまで日本で一番印象に残っている思い出を聞くと、「落とし物が戻ってきたこと」と、即答。
メイさんは振り返る。「2017年に観光で来日したとき、息子がバスにカバンを置き忘れたのですが、すぐに戻ってきました。駅で傘を忘れた時も、すぐ見つかりました。なにより驚いたのは、夫からもらった指輪をホテルに忘れてきた時も戻ってきたことです。日本人の誠実さに、とてつもない感銘を受けました」
東京には2024年まで駐在する予定だが、東京への探求心は尽きないという。東京を拠点に、地方にも足を伸ばし、温泉や各地の郷土料理も試したいそうだ。
大使館員としては、東京の人たちにインドネシアの魅力をもっと知ってもらうことも使命だ。この1年は、友好フェスティバルなどのイベントの開催準備にも力を入れてきた。
大使館のロビーで、2023年の日本インドネシア国交樹立65周年を前に静岡県の体感型動物園iZooから贈呈されたコモドオオトカゲ(通称コモドドラゴン)の大きな模型を見せてくれた。「インドネシアの島々には、寺院をはじめとする史跡やいろいろな料理など、多くの魅力がつまっています」
<インドネシアの魅力>
Q1. インドネシアでお勧めのスポーツやエンターテインメントは?
バドミントンです。世界チャンピオンを何人も輩出しているんですよ。エンターテインメントでイチ押しはバリ舞踊ですね。うっとりするような魅力に溢れています。
Q2.インドネシアでぜひ訪れてほしい場所は?
やはりバリ島は人気が高いですね。駐日インドネシア大使館は、バリの民族音楽ガムランのイベント「江の島バリサンセット」を毎年後援しています。ほかにも、魅力的な観光地を5つ挙げると......日本とインドネシアの友好のシンボルであるコモドドラゴンが生息するラブアンバジョ、ジャワ島中部にある世界最大の仏教寺院ボロブドゥール、スマトラ島の美しいトバ湖、スラウェシ島の白い砂浜リクパン、そしてロンボク島の観光地マンダリカです。
メイナルティ・ファウジ
写真(人物)/榊水麗
翻訳/藤原朝子