Tokyo Embassy Talk:
東京に暮らすカタール大使館員の英気を養う、とっておきの場所

--体を鍛えるのが趣味とのことですが、どんなことをされているのですか?
趣味のひとつはジョギングなのですが、東京にはジョギングにぴったりの場所がたくさんありますよね。まず、皇居。そのお濠にそって一周する約5キロのコースは、日本人、外国人に限らず多くの人に人気があります。信号があまりないので、ジョギングをする人にとっては走りやすいのです。また、かつては江戸城だった皇居のお濠には、歴史に残る事件があった桜田門もあります。そして春には桜も楽しめますし、本当に最高のジョギングコースです。
それから、明治神宮外苑も大好きな場所です。大木がたくさんあって、とても気持ちがいい。ここは四季を通じて楽しめますが、秋になると黄金色に染まったイチョウ並木が最高に美しく、晴れた日はとくに壮観です。また、この辺りはカフェがたくさんあり、野球場や日本オリンピックミュージアムもあります。ドライブをする人たちにも人気のようですが、私にとってはとても特別な場所で、外苑内にある聖徳記念絵画館を起点とした約1.5キロの周回コースが都内でもっともお気に入りのジョギングコースです。週に4、5回は行っています。

--秋の東京の魅力はなんでしょう?
秋はとても過ごしやすいので、散歩など楽しみが多い季節です。私は東京の隠れた名所を探すのが大好きなのですが、駐日カタール大使館のある広尾エリアにはちょっとした隠れ家的スポットが点在しているので、それらを見つけるのを楽しんでいます。ジョギングにも最適なエリアでもあります。
また、紅葉の時期になると、私は必ず日比谷公園を訪れることにしています。真っ赤に染まったもみじで公園全体が彩られるのです。でも、やはり個人的に一番のお気に入りは、黄金色のイチョウの木ですね。芝公園も紅葉狩りにぴったりの場所だと思いますよ。
秋の東京の風景を見ると、本当に心が和みます。近代的な大都会でありながら、豊かな自然もそこにある。そこが、東京の好きなところです。
--東京でとくに印象的な街はありますか?
神保町界隈が大好きです。初めて行った時、たくさんの書店が並んでいて感動しました。とくに古本屋さんですね。店の外の道路沿いにまで大きな書棚が設置されているのは、とても珍しい、東京ならではの光景だと思いました。
日本にはとても知的な文化があると思います。多くの人が読書好きで、それは電車内でも、神保町でも感じます。私は本国からも本を持ってきていますが、神保町は洋書も揃うのでいいですね。
神保町にあるペーパーバックカフェというカフェでは、たくさんの本に囲まれて静かに本を読めます。体を鍛えたり、ジョギングをしたりするけれども、本もよく読むところは、日本人と私の共通点かもしれません。

--カタールと日本が文化面で似ていると思うところはありますか?
カタールにも日本と同じように、年長者を敬う文化があります。電車やバスでお年寄りに席を譲ったり、年長者には話し方を変えて敬語を使ったりする文化は、日本と似ています。また、カタールでも日本と同じく人のプライバシーを尊重する文化があります。
--東京に赴任して、ご自身になにか変化はありましたか?
東京の人たちは、時間を大切にしますよね。約束の時間を守り、物事を時間通りに終わらせる。自分を顧みると、以前よりも時間の管理に気を配るようになったと思います。今は、帰りの電車で読書をするようにしています。
<カタールの魅力>
Q1. カタールで人気の屋外アクティビティは?
冬季(10〜3月)のキャンプは最高です。みんな海辺や砂漠など、思い思いの場所にテントを設置して、家族や友人たちと過ごします。そして最長5カ月間、自宅とキャンプを行き来しながら、冬を満喫します。キャンプでの楽しみは、バレーボール、ラクダやバイクに乗ったり、バーベキューをしたり、おしゃべりに興じたり、詩を朗読したりします。とくに、カタール南部のシーライン ビーチが人気のキャンピングスポットです。
Q2. カタール人のユニークなところは?
カタールには、ゲストを歓待する文化が深く根付いています。自宅にゲストを招き入れて、ナツメと名物のアラビアコーヒーでおもてなししながら、おしゃべりに興じます。
ナーセル・ユスフ・アルカービ
写真(人物)/キム・マルセロ
翻訳/藤原朝子