東京で楽しむ島旅で、とっておきの宝を発掘!
イルカやクジラよりレアな動物たちと邂逅
11の島は北から、大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島、父島、母島だ。それぞれの島は独自の自然や風土、歴史や文化を誇る。
たとえば東京中心部から1000キロメートル離れた父島は、亜熱帯で独特の生態系を育んできた。幻想的な夜光タケのグリーンペペ、独自の進化を遂げたオガサワラオオコウモリ、国の天然記念物にも指定されているアカガシラカラスバトなど珍しい動植物が生息するだけでなく、海沿いを散策中にウミガメの産卵に遭遇することもあるとか。
小笠原パッションフルーツ、島レモン、カカオ、日本で初めて栽培に成功したコーヒー豆などの農産物も魅力だ。島で栽培したコーヒー豆を使った島コーヒーや小笠原産パッションフルーツリキュールを使ったカクテルを賞味したい。
ボニンブルーの海には、絶景のダイビングポイントが広がる。日本ではここでしか出会えない生き物が多く、シロワニやジンベイザメの目撃情報も。ホエールウォッチングやドルフィンウォッチングは通年で開催。小笠原ネイチャーガイドの竹澤博隆氏は、「1月から4月はクジラの遭遇率100%です」と胸を張る。交通手段は週に1便の定期船のみで、東京都港区の竹芝ふ頭から片道約24時間というアクセスにもかかわらず「リピーターが多い」(竹澤氏)というのも納得の"宝"でいっぱいの島だ。
あらゆる場所が夕焼けスポット
11の島のなかで唯一羽田空港から約55分の直行便で訪れることができるのは八丈島だ。「空港に降りた途端、空気の密度の濃さを感じます」と話すのは、ネイチャーヨガセラピストで八丈島在住の玉井由木子氏。豊かな原生林に覆われた生命力が旺盛な島なのだ。
島内には展望台が随所にある。「新東京百景」にも選定されている標高400メートルの登龍峠展望台は、雄大な八丈富士と海に浮かぶ八丈小島、晴れていれば御蔵島や三宅島が見えることもあり、朝日や夕日の眺めも格別だ。ほかにも名古の展望台や大坂トンネル展望台、八丈小島展望台など異なる角度から眺める島の光景に圧倒される。
温泉に浸かりながらホエールウォッチング
ほかにも八丈島には、ゴツゴツとした玄武岩が広がる南原千畳敷、入浴中にクジラを見られることがあるみはらしの湯、あたり一面に多様なシダ植物が生い茂るヘゴの森ツアー(要予約)などがある。大自然とのふれあいに都会の喧騒を忘れてリフレッシュできそうだ。
ひと足先に家で楽しめる島酒、島モノ
旅に出られるのはまだ先という場合は、島酒がおすすめだ。大島の麦焼酎「御神火」、利島のゆり根を使った「さくゆり」、父島のパッションフルーツを使った「パッション・リキュール」など、東京離島のアンテナショップやインターネットで購入できる島酒も多い。
ほかにも島にはたくさんの特産品「島モノ」がある。女性に人気なのは、年貢を椿油で納めていたという利島の「神代椿」。江戸時代に女性たちが髪に飾る横櫛の材料となったツゲの産地、御蔵島のツゲを使った八角箸など、手軽に島気分が楽しめる「島モノ」にも注目だ。
都内とは思えない豊かな自然、透き通った青い海、満天の星、のどかな空気が広がる東京の離島。個性あふれる11の離島の特徴を知って、自分の好み、目的に合う島へ週末や連休にでかけてみませんか。
撮影/殿村誠二