資金調達に必要なのは、熱量をもって自分たちの事業を信じ抜くこと
カフェ感覚で気軽に美容室に通えるサービス
シャンプーやブロー、ヘアケアに特化した定額制(サブスクリプション)サービス「MEZON(メゾン)」を展開しています。提携している500以上の美容室を全国どこでも利用できるスタイリングも通い放題のサービスなど、5つの定額制プランを提供しています。サービス開始から約2年半でユーザーは3万人を越えました。多くの方が気軽に美容室に通ってヘアスタイルが決まることで気持ちを上げる、新しいライフスタイルを提供したいと思っています。
起業前は広告関連の会社で新規事業や営業に携わっていました。当時は大事なプレゼンテーションや商談の前に必ず美容室に行って、シャンプーやヘアセット(スタイリング)をしてもらっていました。平均すると週に1回は足を運んでいたように思います。私にとってヘアセットをしてもらうことは自信のある自分に導いてくれる、ルーティーンのようなものだったんです。そんな原体験がきっかけで、現在のサービスが生まれました。
ユーザー数も順調に増加してきたため、先日資金調達を行いました。調達を行っている期間がAPT Women のメンタリングと重なっていたため、メンターの方には客観的なアドバイスをたくさんいただきました。目標に向けて二人三脚で取り組んでいただけたからこそ、資金調達も上手くいったように感じています。
大切なのは、自分たちの事業に自信をもつこと
今回行ったのは「シリーズA」と呼ばれる事業を拡大していくための資金調達でした。10ヶ月ほど試行錯誤しましたので、重要なポイントを多く学んだと思います。
まずは投資家選びの軸を決めるのが大切です。私は30社以上投資家(ベンチャーキャピタルや事業会社の投資部門)の方にお会いしましたが、自分たちのビジネスに共感していただけるかを最も重視していました。
2点目は調達資料とプレゼンテーションのブラッシュアップです。事業や数字をどのように見せるかは、相手の印象を大きく変えると思います。投資家の方にお会いするたびに、より事業が伝わりやすい説明の仕方や、資料の見せ方をアップデートしていました。
3点目はバリュエーション(企業価値評価)の決め方です。自分達の企業価値の決め方は多くの起業家が悩むところだと思いますが、私たちは事業に必要な資金と今回の調達による自分たちの株式保有比率をどこまで希薄化させるかを逆算して決めていました。
ただ、最後にこの3点以上に大切なのは、起業家自身が自分たちの事業に自信をもつことではないかなと思っています。
投資家はそれぞれの目線や経験をもとに様々なアドバイスをくれますが、必ずしもポジティブなことだけではありません。特に女性を対象としたサービスだと共感してもらいづらいことも多く、今の事業戦略でいいのだろうか、事業戦略を見直した方がいいのではないか。私は誰のために何のビジネスをしようとしているのだろうか。と次第に自信を失ってしまったタイミングもありました。そんな時は、自分のサービスに愛情と熱量をもって起業したことを思い出し、事業に自信をもって共感してくれる方に出会うまで粘り強く投資家に会い続けたことで、結果的に資金調達ができたのだと感じています。
何よりこれまで出資していただいた投資家やAPT Women のメンタリングのサポートにも本当に感謝しています。これまでなかなか弱音を吐けない性格だったのですが、困っていることを相談し、人の助けをかりることで前に進めるタイミングもあるのだと実感しました。
favorite 私のリラックス方法
分岐点に立つ女性を応援したい
私は祖父や父が経営者だったこともあり、29歳までには起業したいと考えていました。子どもながらに実家の会社の紆余曲折を見てきて、環境に適応しながら人生を通じて成長し続ける経営者に興味をもったのです。新卒では不動産ベンチャーに入社し、その後サイバーエージェントグループで新規事業や営業を担当。その時の上司とともに現在の会社を立ち上げました。
20代後半から30代は、人生の分岐点に立つ方が多いですよね。仕事のほかに結婚や出産、子育てなど、ライフイベントを迎える方もいらっしゃるでしょう。私たちは「Create My Life , Bet My Life」をスローガンに、そういった方々がより自分に自信を持つことで、他人の意見や常識に捉われず、自分の意思で人生を切り拓いていって欲しいと思っています。
まず直近の目標としては、日本全国に提携美容室を増やし、カフェ感覚で美容室に通う新しいライフスタイルを浸透させることです。
髪がキマってキレイになることは自信を得るためのひとつの手段で、その先に私たちがめざすのは、キレイを提供することではなく、あらゆる角度から自信を提供することです。一人でも多くの女性が自分らしく生きられることを応援できたら嬉しいですね。
message 起業家への応援メッセージ
「この事業に一生をかけてもいい」と思えるほどの熱量があれば、ぜひ起業の道を進んでみてください。ですがまだそういったものに出会えていないのであれば、立ち止まった方がいいかもしれません。起業をすると365日24時間が仕事でいっぱいになるので、強い想いがないと途中で心が折れてしまうと思います。私はAPT Women に目標をもって参加したことで次のステップが見えてきましたし、資金調達の時は心の支えにもなりました。もし応募を悩んでいる方がいたら、ぜひ挑戦してほしいなと思います!株式会社Jocy 代表取締役 鈴木 みずほ 氏
*「APT Women(Acceleration Program in Tokyo for Women)」は、東京都による女性ベンチャー支援プログラムです。