Tokyo Embassy Talk:
東京とベルリン友好都市提携30周年、多様なドイツを伝えたい

ベルリンと東京は1994年5月、ベルリン市長と東京都知事の共同宣言により、正式に友好都市となった。エネルギーと創造性にあふれる両都市は、流行の先端を行く独創的でクリエイティブな人々を惹きつけてやまないと、ホリスさんは知っている。「東京もベルリンも、すべてが常に動いています」

「ベルリンだけでなく、ドイツ全体が誰に対しても開かれていて、旅行者も移住者も歓迎しています。大使館はこうした価値観に誇りを持ち、東京における多様性と平等の取り組みを支援しています」とホリスさんは続ける。
力を注いでいる分野の一つが、ジェンダーの多様性といったLGBTQ+の権利まつわる活動だ。ドイツ大使館は2023年の「東京レインボープライド」にブースを出展し、ドイツからの特別ゲストとしてドラァグクイーンのヴィヴィアン・ラヴクラフトさんを迎えた。2024年の同イベントでも、東京とベルリンの友好都市提携30周年を記念する活動の一環として、大使館をあげて注力する予定だ。

東京での多様なコミュニケーション活動
その試みは、ソーシャルメディアを通じて日本におけるドイツのイメージを多様化し、広げ、豊かにするというホリスさんの重要な使命につながっている。
ホリスさんは言う。「ドイツといえば、ビール、自動車、サッカーがよく知られていますが、それだけではありません。私が心がけているのは、ドイツの伝統的なものとしてすでに確立されているものとは対局にあるものを意識することです」
同大使館のソーシャルメディアでは、ビールだけでなくドイツワインも紹介。また、自動車のイメージとは対照的に、ドイツ鉄道に自転車を持ち込むサイクリストの写真を投稿して、サイクリングが娯楽として広く普及していることを伝えている。
ホリスさんは仕事の一環として、特に日本の若者と情報を共有し、交換することに喜びを感じている。「大使館を訪れる学生たちには、ステレオタイプにとらわれず、私がドイツで経験したことや、ドイツに対する私自身の見方を伝えるようにしています」
また、2023年には、大使館の外壁をキャンバスとするアートプロジェクトで、ドイツの16の各連邦州のあまり知られていない美しいスポットの写真展を開催し、国の多様性をアピールした。 ここでも2024年には、東京とベルリンの友好都市提携30周年を祝うアート作品の展示が計画されている。
同大使館は他にも、科学(特にAI技術の開発)、スタートアップ支援、アート、eスポーツ分野でのコラボレーションなど、30周年を祝う多くのイベントや活動を行う予定だ。
<ドイツの魅力>
Q1.ドイツといえばソーセージが有名ですが、それ以外のおすすめは?
ドイツパンです。3,000種類を超えるドイツパン文化はユニークで、2014年にはユネスコ無形文化遺産に指定されました。ドイツパン大使もいますし、世界でも類を見ないほどさまざまなドイツパンの文化や産業を広める活動をしています。
Q2.ドイツについて、他に知ってほしいことは?
まだ正式なスポーツではありませんが、ゲームはドイツの子どもや若者に最も人気のある娯楽の一つです。さらに、生活のいたるところに浸透しています。たとえば、ビジネスにおけるゲーミフィケーションもそうですし、教育や社会課題の解決においてもゲーム文化が根付いています。そこで、日独交流を目的として「リーグ・オブ・レジェンド」のトーナメント「ドイツ大使館 esports cup Japan 2023 Diplomacy meets eSports」を渋谷にあるeスポーツ高等学院で初めて開催しました。ドイツのサッカークラブ、アイントラハト・フランクフルトのプロのeスポーツチームを招聘し、グランドファイナルに参加してもらうことで、競技を通じ日本の若者たちとの交流を実現しました。
ユーディット・ホリス
写真/アンナ・ぺテク
翻訳/前田雅子