大丸有地区の大手企業2社に聞く、国際化に対応する人材育成の取り組み
海外採用社員が来日し、国際的な社風に
「T.E.A.M.大丸有」に名を連ねる株式会社三井住友銀行に、同社が注力しているグローバル化への取り組みを聞いた。
日本を代表する3大メガバンクのひとつである三井住友銀行。同行を含むSMBCグループでは、世界約40の国と地域で働く11.5万人の従業員のうち約5割は海外拠点で採用されている。2011年より続く「Global Japan Program」では、海外採用の従業員を日本の各拠点に一定期間派遣し、業務を通じた社員交流を図ることで組織のグローバル化を促進している。2023年は約50名が来日する予定だ。
加えて、オンラインで各国従業員を繋ぐ「Cultural Exchange Program」には20か国以上約140名が参加し、それぞれの生まれた国と働く国について情報交換をしながら異文化理解を深め、国をまたいだネットワーキングを行っている。
「このようなプログラムを通じ、顔の見える繋がりを醸成してきたことで、言語や国境の垣根を越えて一体となって動ける組織になってきている」と三井住友銀行の担当者は交流の成果を挙げる。課題としては、訪日する外国籍従業員は日本語を母国語としない人が多く、こういった人材が快適な日常生活を過ごすにあたっては、職場のある大丸有地区はもちろん都内全域の英語力向上を含むグローバル対応力の強化が急務だと感じているという。一方で、一社だけの取り組みでは変革にも限界がある。そこで、ほかの企業や団体とも連携し、国内外から集まった人々が快適に暮らし働ける街づくりにも貢献したいと「T.E.A.M.大丸有」に参画したという。
旅行会社の知見で、英語をより身近に
日本では2022年10月の新規入国制限の緩和以来、インバウンドの回復が顕著だ。2023年3月には181万人以上が訪日して緩和以来の最高数を記録、コロナ禍以前と比較しても2019年同月の65%にまで回復している。その需要を目の当たりにしている旅行業界だが、大手代理店である株式会社JTBもまた、「T.E.A.M.大丸有」参画企業のひとつだ。
JTBグループも世界35の国や地域に支店や営業所を展開している。従来の観光旅行に関わる業務だけでなく、世界に広がるネットワークを活用したマーケティングサービスや越境ECなどを提供している。JTBにとっても、社内人材の国際化は重要課題だ。社内から希望を募り海外支社との交流を活発化させ、異文化コミュニケーション能力、問題解決力、柔軟性に加え、将来のグローバル戦略に資する人材の早期育成を行っている。
旅行代理店としてインバウンドで英語を活用する機会が多い同社は、「T.E.A.M.大丸有」プロジェクトと協働し、英語を通して多様な賑わいを創出することで、観光客を受け入れる側としての魅力創出にも寄与していきたい構えだ。JTBの広報担当者は「英語への苦手意識をなくし、身近な形で受け入れてもらう場が増えれば」と期待する。旅行会社として、修学旅行などで国際的な交流を求める学校へのプログラム開発に関わってきたJTBの知見もまた、プロジェクトに活かされることだろう。
「T.E.A.M.大丸有」プロジェクトは、こうした大丸有地区の参画企業の従業員同士を対象とした英語を媒体としたネットワーキングの機会創出や、同地区を訪れる人が気軽に参加できる英語イベントなどをまずは企画。こうした取組みを通じて、英語が日常的に使われ、新たな交流が生まれるエリアを目指して活動していく。