都市のゴミ削減に貢献する、IoTスマートゴミ箱とは?

 多数の外国人旅行者が訪れる原宿・表参道に、美しいデザインのゴミ箱「SmaGO(スマゴー)」が設置されている。SmaGOは株式会社フォーステックが販売・設置する、IoTスマートゴミ箱だ。代表取締役社長の竹村陽平氏に、話を聞いた。
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「SmaGOは、IoTの活用によって管理コストを削減し、都市環境を快適に保つことができるゴミ箱です」と話す竹村氏。

ゴミ箱が少ない東京に戸惑う外国人旅行者

 観光庁の2019年の調査で、日本を訪れる外国人旅行者の困りごとの第1位がゴミ箱の少なさだという結果が出ている。

 「ニューヨークやパリなどの観光都市と比べても東京は街中に設置されたゴミ箱が圧倒的に少ない。外国人旅行者はとても戸惑うようです」

 そうした状況に素早く対応したのが、原宿・表参道エリアの商店会「原宿表参道欅会」だ。2020年10月、表参道沿いの歩道にSmaGO 34台を設置した。

 SmaGOは、従来のゴミ箱とどこが違うのか。

 「大きく違うのは収容能力です。ゴミがたまるとセンサーが感知してゴミを圧縮するので、同サイズのゴミ箱と比べて6倍のゴミを収容します。必要な電力は、上部のソーラーパネルの太陽光発電でまかなう仕組みですから、環境負荷が低い。外部電源を必要としないため、どこにでも設置できます。さらに、通信機能を搭載しているので、ゴミの蓄積状況がリアルタイムで把握でき、効率的な回収が可能です」

 人が密集しやすい地域で、収集が追いつかず満杯になったままのゴミ箱を見る人も多いのではないだろうか。収容能力が高く、ゴミの量を管理しやすいSmaGOなら、こうした事態を回避することができるというわけだ。

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内部にゴミを圧縮する装置があることで収容能力が6倍になり、回収回数を減らせる。  

ゴミ箱は、目立つことでますます役に立つ

 SmaGOのもう一つの大きな特徴は、デザインだ。全面に色彩豊かなラッピングが施されている。

 「これまでゴミ箱は目立たないところに置かれることが多かったのですが、捨てやすさを重視するなら目立ったほうがいい」と竹村氏はラッピングの意図を説明する。

 「私たちはゴミ箱を広告メディアとして運用しており、ゴミ箱は環境活動に協賛してくれる企業や団体の広告を主体としたラッピングデザインになっています。利用者の目につきやすく、協賛団体は利用者に自分たちの思いを伝えることができます」

 新たにゴミ箱を設置する場合、一番問題になるのがコストだという。「SmaGOは、管理の手間が省ける仕組みになっていることに加え、広告メディアとして運用し収益を得ることができますから、設置コストや管理コストの負担を軽減します」

アートと融合して循環型社会を形成

 2023年4月からは「スマートアクションプロジェクト」が始まった。株式会社ヘラルボニー*との連携により、表参道のSmaGOを障がいのあるアーティスト作品でラッピング。アートを楽しみながらゴミを正しく処理する循環型社会の形成を目指す。
*障がいのある異彩作家とともに、新しい文化をつくるアートエージェンシー

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へラルボニーが契約する異彩作家のアート作品でラッピングされた表参道のSmaGO。広告主のロゴもプリントされている。

 2023年のG7広島サミットでも国際メディアセンターに広島出身アーティストの作品をラッピングしたSmaGOを設置し、参加者にこの取組をアピールした。

 2024年7月現在、東京都内には表参道のほか渋谷区のMIYASHITA PARKと墨田区のおしなり公園などに計70台を設置。全国では400台に上る。設置準備を進めている自治体や大規模施設も多い。

災害に備える機能搭載にも期待

 竹村氏はこれからのSmaGOの展開についてこう語る。

 「ある企業と組んで、街の人流データをもとに最適なゴミ箱の設置方法を検証しています。将来はそうしたデータをもとに、設置場所や設置台数を決定すると、より効率的なゴミ処理が可能になります。一方で、富士山の頂上や無人駅など回収の手間がかかる場所に設置する意義も高いと考えています」

 さらに、災害時にSmaGOの蓄電機能を利用してスマートフォンを充電できる機能や、ゴミ箱のラッピングを液晶ディスプレイに替えて避難経路を表示可能にする機能を検討中だという。

 ゴミの分別に関して表参道のSmaGOは、瓶・缶と、ペットボトルを含むそれ以外のゴミの2パターンとなっている。

 「ある大規模施設ではSmaGOに食べ残し専用のボックスを用意して、肥料にする試みも始めています。回収したゴミのリサイクル率を高めることもこれからの課題の一つです」と竹村氏。

 ゴミの処理は、大きな社会課題の一つ。人員やコスト、ポイ捨てゴミを減らすことができ、街の景観を守るSmaGOは、サステナブルな社会を支える重要な取組となりそうだ。

竹村陽平 Yohei Takemura

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株式会社フォーステック代表取締役社長。フォーステックは2019年、豊かで快適な生活を送るために欠かせない社会基盤を支えるキーワード「Smart Action on the GO」をコミュニケーションの軸として考え、さまざまな技術や新しい価値観をベースに独自の一貫したソリューションを提供し、企業ブランドイメージの醸成をサポートすることを目的に創業。

株式会社フォーステック

https://forcetec.jp/
取材・文/今泉愛子
写真/穐吉洋子